女の人は家の前を通って私を見かけると頭を下げてきた。



「こんにちは」

「あ、こんにちは……」



近づいたらますます綺麗で圧倒された。

誰?……もしかして麗くんの好きな人?

だって麗くん、見たことのない嬉しそうな顔でその人を見つめている。

でも想ってる人がいたなら、私を水族館に連れて行ったりとか、あんな思わせぶりなことしちゃダメでしょ。

もてあそばれたと知って血の気が引いて、冷や汗が出てきた。



「お隣に越してきた長谷川ゆらちゃん?」

「はい、長谷川ですけど……」



そうとは知らず、女の人は私に話しかけてくる。

私のこと知ってるんだ。……なんか、すごく複雑な気分。