「麻夜もなんかあるんじゃない?」

美香子が話題を変えた。

「えーなんのことぉ?」

わざとらしくすっとぼけてみた。いつもの悪ふざけだ。

美香子はマニキュアを塗る手を止めてまで微笑んでいる。何かあるとわかり切った顔だった。

「ふふ、実はね」

ちょっともったいぶってから、言う。

「潰しました、グループ」

「キャー」

これまたわざとらしく、美香子が合いの手のように小さく悲鳴を上げた。

でも、すぐに不思議そうな顔に変わる。

「待って。潰したの? グループを? 姫の座を奪ったんじゃなくて?」

「最初は姫の座を奪うだけのつもりだったんだけどね……」