そいえばさ、と美香子が切り出す。

「最近S高のマキセ君と仲良くなってさ」

「ああ、グループのリーダーって有名の」

「そそ。で、グループに入れてもらったんだけど、そこの姫がヤな奴でさー」

生意気だったから、姫の座を奪ってやった、と美香子は意地悪く笑った。

意地悪い顔だけど、それでも美香子は美しい。

その顔をもっと見ていたくて、わたしは質問した。

「どんな子だったの?」

「ん、小動物系かな。男の子が守ってあげたくなるって思うような可愛い子。人懐っこかったし、私もまあ嫌いじゃなかったけど、ねぇ?」

「ああ、クラスで二番目、みたいな。そういう子ってムカつくよね」

「ね。だから姫の座を奪ってやったの」

「ヤダー美香子、悪い女!」

「まーね!」

白とピンクに囲まれた部屋の中、あたしと美香子はけらけらと笑った。


美香子は美しい。

だけど、彼女にはとんでもない悪癖があるのだ。

グループの姫からその座を奪う。

それが美香子の趣味だった。