美香子(みかこ)は美しかった。

平行二重のぱっちりした瞳に高い鼻、唇は程よく厚くて、肌は色白。

胸の下ほどまである黒髪は完璧に手入れされたサラサラストレートだ。


「ほんっと、綺麗」

息をするように声に出てしまうくらい、美香子は美しい。

「そういう麻夜(まや)だって綺麗じゃん」

言いながら、美香子は爪に息を吹きかけた。


あたしは美香子の家に遊びにきていた。

美香子の部屋は壁や天井、大きな家具など目立つ部分は白一色で、差し色に小物など細かいところはピンクという、美香子らしい空間だ。

あたしと美香子は部屋の真ん中にある白いローテーブルを挟んで向かい合わせに座っている。

ローテーブルには美香子が選びに選び抜いたマニキュアがずらりと並ぶ。


美香子はマニキュアに強いこだわりを持っているから、一度爪を塗り出すと長い。

そんな美香子をあたしはかれこれ三十分ほど見物している。

それだけ見ていても飽きないくらい、美香子は美しい。

だけど。