『雪がようやく溶けてくる季節になり、今日から2月を迎えました。3年生の皆さん、いよいよ卒業が近づいてきましたね。今までたくさんの思い出と…』





流暢に話す校長先生。





とは裏腹に眠そうに首を右に傾けながら聞く生徒。





この光景もあと1ヶ月しか見ることが出来ない。





この高校は全校集会が月に3回ある。





体育館は寒いし、人は多いし、話はいつも長いし…





悪いことばかりだけど、私はこの時間が幸せだった。





体育館に並ぶ順番は右から1年1組、1番左が3年7組となっている。






私は真ん中付近の2年5組中村詩音(なかむらしおん)





視線の先にいるのは左斜め前に座っている3年1組伊藤夏樹(いとうなつき)





私が座っている場所から人と人の隙間から先輩をずっと見ることが出来るのだ。





じっと見ていると、傾いた首が前にガクッと動いた。





(寝たのかな…可愛い、、)





なんてにやけてしまうのを一生懸命抑える。







この恋には【タイムリミット】がある。






先輩は今年、卒業してしまう。






私と先輩が一緒の空間に居られるのは…






あとたった1ヶ月。