涼やかな風


・・・・・


あの事故があったのは、暗い、雨の日だった。


あの日、拓徒は、自分の兄がおばさんたちの息子を殺したんだと、正直に、
パパとママに打ち明けた。


パパとママはすごく拓徒を軽蔑するようになった。





「拓徒くん、私たちが怒ってると思う?」


お姉ちゃんは優しく言った。



「怒ってないよ。」

お姉ちゃんはつづける。



「パパとママはね、あなたのことすっごく嫌ってるみたいになってるでしょ?
だけど、本当は、拓徒くんが紗和のこと、どれくらい思ってるかをちゃんと知ってるの。
同じように紗和が拓徒くんのこと思ってるかどうかもね。
私ね、パパとママの話、聞いちゃったんだ・・・」