「あのとき、大地が死んだとき、僕とママは頭がおかしくなっていた。
最愛の息子を亡くしたんだ。誰でも、悲しむのは当たり前だ。
だけど、大地を奪ったのが、愁徒という、拓徒くんのお兄さんだと知ったとき、今まですごくいい子だった拓徒くんが、いい子に見えなくなった。
大地を奪ったやつの実の弟。
許せない。その思いしか、なかった。」
「ええ。
大地を奪われたのがとても悲しかった。
でも、冷静に考えると、なにもしていないでしょう??
紗和も、拓徒くんも、お互いのことがとても大切だってことをあなたたちをみて分かったの。
表面上には、許していない感じに装っていたけど、そんなこと、今はこれっぽっちも思っていないわ」
パパとママは謝った。
「・・じゃあ、私はいいから、拓徒にあやまって。」
私は言った。
「できるだけ早く。
だって・・・拓徒は・・・・
あと、3ヶ月しか・・生きれないから」
私が思い切って言ったとき、パパとママ、お姉ちゃんの顔が凍りついた。


