「まずひとつこれから言うことについては他言無用だ、それだけは約束してくれ」

「わ、わかった・・・・・」


神妙な面持ちで彼らは話し始めた
なんだか重要なことを話すんだってことは肌で感じていて妙に緊張する
取りあえず人目を避けるように行きついたのは小さな公園
繁華街から外れたところにあるベンチがあるだけの本当に小さな公園で・・・・
休日ってこともあるのか誰もいなくてそこだけが切り取られたように静かだった



「まあ、座って話そうか」

和希さんの言葉に頷くとすかさず大和君があたしの手をひいて自分の隣に座らせた
びっくりして彼を見つめていると大きな手があたしの手をさするような仕草で包み込んだ


「どうした?そんなにびっくりした?」
「う、うん・・・・急に手引かれたから」
「ごめん、痛かった?「ううん・・・・びっくりしただけ」
「百花、可愛い」

大和君はぽつりとそう呟くとあたしの髪をそっと撫でた
撫でられた髪が、少しだけおでこに触れた指が妙に熱く感じて和希さんの声で我にかえった

「はいは~い!!いちゃつくの禁止!!これから大事な話するんだから真面目に聞いてよお二人さん」

「わかってるっつうの、でも言っとくが番を目の前にして俺が冷静でいられるわけがないってのをわかってほしいんだが」


番・・・・
番って言葉があたしの耳に刺さる
それってなんなの?その答えを今から話してくれるの?


「ももちゃん、俺たちは実は古より日本を守って来た竜族という種族なんだ」
「竜族・・・・・?」
「東西南北にそれぞれ竜族はいて日本を守って来たんだが俺は南、東雲は北の竜族の王家の末裔にあたるんだ」
「ってことは・・・・ふたりは人間ではなくて竜なの?」
「いや、人間ではあるけど普通のひとより五感が優れてるってくらいかな、昔の竜族はみんな竜になれたらしいけど俺たちはそれは出来ない」
「でも、魔力がなくても魔力が込めてあるものに波長を合わせればできるって俺聞いたけど?」
「それはどうかな・・・?かなり訓練しないと無理だろ?それに俺竜になったままなんて絶対嫌だからそんなことやらないし訓練なんて無理」


和希さんがそう答えるとベンチから立ち上がる
あたしを見つめたまま彼はふんわりと微笑んだ


「でも、ももちゃんがどうしてもって言うならやってもいいかな?」


和希さんの香水の香りがあたしの鼻を掠める
風に乗った和希さんの髪が綺麗すぎて息を呑んだ