「おむつの女の子に逢いたいってよ」

え?・・・・・おむつ?!


「ふっ・・・・検査入院する前に一度来たらいい、ばあちゃんが会いたがってた」
「おばあちゃんが?「ああ、あの小さな女の子にもう一度逢いたいってよ」
「小さな・・・・女の子?」

そんなに小さいかな?
あたしこれでも身長は153くらいはあるんだけど・・・・
ちらりと隣を見ると明らかに高身長なお方が目に入る
ってか、くすくす笑ってるし

「百花の事ばあちゃんはまさか高校生だとは思ってないみてえだぞ」
「え?な・・・・なんで?!」
「だってお前身長いくつだよ?」
「ひゃ・・・・・153」
「ぷっ、俺と30センチも違うのかよ」
「大和君が大きすぎるだけだし今からだって伸びる可能性あるかも」
「まあ、そういうことにしとくか・・・・とりあえずこのパンフレットは返しとくわ」


そう言ってパンフレットを差し出した
受け取ったあたしが立ち上がると彼は頭を再びくしゃりと撫でた
撫でるの癖なのかな?
なんだか物凄く心地いいっていうか気分がいい
やっぱり好きだなあって改めて思っちゃう
そんなことされるとあたしは舞い上がっちゃうよ
他の女の子にもこんなことしてるのかな?
そう思ったら胸がきゅうっと苦しくなった


「あ、今日はごめんね突然訪ねてきちゃって・・・・」
「いや、こっちこそありがとな」
「じゃ、じゃあ帰るね「ちょっと待て」
「・・・・・え?「途中まで送ってく」


そう呟くとあたしの手を取って歩き出す彼
え・・・・・え?手、繋いでる!!どうしよう
手汗かいてないよね?ってか歩くの早っ
普通に歩いてる大和君に小走りで歩いてるあたし
そもそもコンパスの長さが違う
彼はあたしが少し息を切らしているのがわかったのかあたしのほうをちらりと見ると歩調を合わせて歩き出した


「あ、悪い早かったか?」
「ううん、あたしこそ遅くてごめん」
「いや、こっちこそ・・・・」
「あのさ、俺・・・百花には感謝しなくちゃいけないって思ってた」
「え・・・・?「あの時、冷凍食品だけじゃ栄養バランス悪いって野菜スープ作ってくれただろ?俺はそこまで気が回らなくてさ」


いつの間にか到着していた昇降口で靴を履き替えながら話していた
今日は先生方が会議があるみたいで下校が少し早いからすれ違う人はまばらだ
だけど・・・・・高校生の男の子がおばあちゃんの介護をしてるってだけでも凄いことだよ、食べ物の栄養バランスまで気が回らないのも無理ないよ

「介護ってのがこんなにも大変なもんだって俺・・・わかんなかったよ」
「大和君・・・・「いらいらしてさ当たっちまうんだ」


「大和君、愚痴ならいつでも聞くから!!ご近所だし・・・・ね?」


気がついたらそんなことを口走っていた
一人で抱え込まないでほしい・・・・そう思ったから
精いっぱいの笑顔を浮かべると彼も笑顔を浮かべながら頷く
一緒に帰れるのかな?なんて思ったけど言わなかった
大和君はその場で別れて空き教室に再び戻るみたいだ