「え?老人ホーム?」

「そう、老人ホーム!お母さんの今勤めてる病院内に老人ホームを併設することになって今入居者募集してるのよ大和君のおばああちゃんどうかと思って・・・・百花この間ちらっと言ってたじゃない?」

「あ・・・・うん、そっか老人ホームか」


病院が併設されてるなら安心だよね
その後どうなったのかあれからあたしも気にはなっていたんだけどあんまり立ち入ったら悪いかと思って聞かなかった
ちょくちょく大和君学校休んでるみたいだし・・・・
でもおばあちゃんのこと気になるな
この間プリント届けに行った時の事言ったから老人ホームのことあたしに話したんだと思う、少し介護のことも勉強してたから躊躇なく出来たってだけなんだけど


「あたし大和君に聞いてみる」

「そうね・・・・そうしたほうがいいと思う、だけど早いほうがいいわよすぐ契約埋まっちゃうと思うしまあ、なんならママが彼のお母様に話してもいいけど」


「でも、忙しくてほとんどこっちに帰ってきてないみたいだしあたしが大和君に聞いてみるよ」


色々複雑な事情があるのをお母さんはわかってて気をつかっている
あたしも詳しい事情はわかんないけど何かあるんだろうってのはわかる
放課後って時間あるかな?
それとも家に直接行ってみる?
でも放課後は空き教室にいることが多いって言ってたから・・・・
うん、善は急げだ
空き教室に言っちゃおう
善は急げってことで翌日一応パンフレットを持って登校した
口で言うより資料があったほうがいいかなって思ったから
あたしは授業が終わった後パンフレット片手に空き教室を目指した
この空き教室ってもうすっかり彼の部屋って言っても過言ではないくらい知れ渡ってる部屋ってことをあたしは馬鹿だからすっかり忘れていた
ファンクラブと大和君本人以外は立ち入り禁止だなんて・・・あたし知らないよ
そんなこといつ決まったの?みんな知ってるわけ?まあいっかもう来ちゃったし黙ってればばれないよね?
あたしが知ってるのは学校側も暗黙の了解ってことで許してるってことだけ、何故だかわからないけど・・・・


いつも居ると言われる教室の前に来ると緊張感が増した
勇気を出して深呼吸・・・・


「何やってんだ?お前?」

「ふ・・・・ふえっ!!」


がらっと突然開いた扉に思わず後ずさった
なんであたしが来るのわかったんだろ?
かなり静かに歩いてきたつもりなんだけど・・・・
あたしは彼が思いのほか近くにいることで一瞬呼吸をすることを忘れる
思わず息を止めて彼に視線を移した