二学期の始まりを迎えるに当たって、私は昨日の夜、第4局に定期連絡を入れました。

明日から二学期が始まることは、勿論、久露花局長も知るところです。

『明日から二学期だね〜。何だか早いね〜』 

と、パソコンの画面の向こうで、久露花局長は言いました。

『はい…。本当に、あっという間ですね』

と、パソコンの画面の向こうで、朝比奈副局長も言いました。

紺奈局長には、直接会ったばかりなのですが。

肝心の久露花局長と朝比奈副局長には、画面越しでしか会っていませんね。

などと、考えていると。

『…それで瑠璃華ちゃん、聞いたよ?』

と、局長は言いました。

「聞いた?何をですか?」

『紺奈局長から!花火大会のこと!』

と、局長は言いました。

あぁ、花火大会の件ですか。紺奈局長が、久露花局長に話したのですね。

「はい。夜空に浮かぶ爆発物の光景…。人間の、夏の風物詩。存分に堪能しました」

『あ、そ、そう…。それは良かった…』

「はい」

『…じゃなくて!』

「はい?」

と、私は首を傾げました。

『なかなか際どい格好をしてたらしいね!?』

と、局長は言いました。

格好?

私はあのとき、浴衣ドレスを着ていたと記憶しています。

と言うか、今も、クローゼットの中にあのときの浴衣ドレスが収納してあります。

「何か問題がありましたか?」

『あるよ!瑠璃華ちゃんは可愛いんだから、格好には気をつけなきゃ!』

と、局長は言いました。

意味不明です。

私が可愛いということと、それ故に格好に気をつけなければならない、という理屈が、理解不能です。

関係ありますか?

『全くもう…。もう浴衣ドレスなんて着ちゃ駄目だよ?怪しい人に声をかけられなくて良かったよ』

と、局長は言いました。

更に。

『瑠璃華ちゃんは可愛いんだからね、不審者には注意してね』

と、局長は言いました。

不審者ですか。確かに、不審者には気をつけなければなりませんね。

「分かりました。万が一不審者を発見した場合、速やかに制圧、敵を無力化します」

『あ、いやそういう意味じゃなくてね…?』

「はい?」

『あ、うん。とにかく気をつけてね』

「はい」

と、私は答えました。