「ふ、普通に食べられるんだ…凄いね…」

「食べ物なのですから、食べられるのは普通では?」

「いや、辛いから…。大丈夫かなと思って」

「?何も問題ありません」

と、私は答えました。

すると、奏さんも安心したようです。

「そ、そっか…。瑠璃華さん、辛いもの得意なタイプだったんだね。それなら良かった…」

と、奏さんは言いました。

そして、彼も落ち着いて、自分のカレーを食べ始めました。

心配をかけてしまって申し訳ないですね。

しかし、私なら大丈夫です。

「はい。少々…舌が痙攣しているくらいです」

「えっ」

「それと、不思議なことに味を感じません。カレーという食べ物は、こんなに味のないものなのですか?」

と、私は尋ねました。

食感は感じるのですが、味を感じません。

これが、カレーという食べ物なのですか。

「そ、そんなことないよ。ちゃんと味はあるよ!?」

と、奏さんは動揺して言いました。

何故か焦ったような表情で、しかもカレーを食べる手が止まっています。大丈夫でしょうか。

何か不可思議なものでも見えたのでしょうか。

「そうですか。では、私に味覚障害が起きている可能性がありますね」

「だ、大丈夫?水飲む?」

「いえ、結構です。…しかし、おかしいですね。店内はエアコンが利いているのに、先程から異常なほど発汗しています」

「やっぱり水飲んで!!」

と、奏さんは珍しく、大きな声で言いました。

大丈夫でしょうか。

「問題ありません。ただ、少し舌が痙攣して、発汗量が尋常ではないというだけで…」

「それは大問題だから!やっぱり、い、言わんこっちゃない!無理しないで!」

「無理はしていません。…しかしおかしいですね。舌だけではなく、口の中全体が何も感じません。感覚機能が麻痺したように…」

「それもう全然大丈夫じゃないから!しっかりして!」

と、奏さんは大パニックで言いました。

大丈夫でしょうか。

「瑠璃華さんの、瑠璃華さんの舌が死んでしまう!大丈夫!?最悪残しても、」

「食べ物を無駄にするという選択肢は、私にはありません」

「真面目っ…!」

と、奏さんは言いました。

自分で注文したのですから、当然のことでは?