人生初、カレーショップです。

店内に入るなり、独特な刺激臭を感じました。

これが、スパイスの匂いというものなのでしょうか。

とても興味深いです。

「瑠璃華さん、どれにする?」

と、奏さんはメニュー表を指差して聞きました。

メニュー表には、ずらりと様々な種類のカレーの写真と名前が並んでいます。

どれも似たような写真ですが、微妙に中の具が違っています。

ビーフやチキンや、トンカツが乗ったカレーの他。

ゴロゴロと野菜の入ったカレーや、少し変化球で、カレーうどん、カレースープまであります。

「ふむ…。どれも興味をそそりますね」

「うん、どれも美味しいと思うよ」

「奏さんはどれにするんですか?」

と、私は参考までに尋ねました。

「そうだな…。じゃあ、俺は夏野菜カレー並にしよう」

と、奏さんは言いました。

ヘルシーですね。

「奏さんは、ただでさえ体脂肪率も低いことですし、もっとガッツリ食べられては?」

「え?でも…。あんまり食べたら胃にもたれるし…」

「成程、分かりました。では奏さんの代わりに、せめて私がガッツリ食べましょう」

と、私は言いました。

そして、再度メニュー表を眺め、注文する商品を決定しました。

「では私はこの、メンチ、チキン、トンカツ豪華三種盛りビーフカレーにしますね」

「…重っ…」

「それを特盛で」

「更に重っ…」

と、奏さんは呟きました。

「瑠璃華さん、そんなに食べられるの?」

「『新世界アンドロイド』は、空腹感も満腹感も感じませんから。問題ありません」

「そ、そう…?じゃあ、辛さはどうしよう?」

と、奏さんは尋ねました。

辛さ?

「辛さとは、どういう意味ですか?」

「あ、うん。自分の好きな辛さに変えられるんだよ。普通の辛さから、えーと…ほら、十段階から選べるんだ」

と、奏さんはメニュー表を指差しながら言いました。

確かに、辛さのレベルが選べるようになっています。

最高が10辛だそうです。

これは興味深い仕組みですね。

これで、辛いのが苦手な人、得意な人がそれぞれ、好みの辛さを選べるという訳です。

とても良心的なシステムだと思います。