…こうして、二人の空中散歩は終わりました。
私は再び、飛び立った自分のアパートの屋上に戻り。
抱きかかえていた奏さんを、車椅子に降ろしました。
「はぁ、はぁ…。地面だ。地面がある…」
と、奏さんは疲れたように言いました。
はい、地面はあります。
今更どうされたのですか。
「空を飛ぶのも良いけど…。やっぱり、人間は地に足を着けて生きる生き物なんだって、実感するよ」
「そうですか」
と、私は言いました。
「空中散歩は、お気に召しませんでしたか?」
「まさか、凄く楽しかったよ。怖かったけど」
と、奏さんは言いました。
奏さんは、高所恐怖症、という奴なのかもしれません。
「ありがとう。本当に…ありがとうね、瑠璃華さん」
「いえ、お気になさらず」
と、私は言いました。
そして、バーチャルウイングを閉じ、通常モードに戻りました。
勝手に戦闘モードに移行し、人間にバーチャルウイングを見せてしまったこと。
後で、久露花局長に怒られてしまうかもしれませんね。
そのときは…。
…そのときは、しらばっくれましよう。
これは必要な犠牲です。親友と素敵な景色を楽しむ為に。
それから。
「奏さん。一応、先程のバーチャルウイングのことは、他言しないでもらえませんか。『Neo Sanctus Floralia』の重要機密の一つなのです」
「え?うん。勿論」
「隠し事をするのは、気が進まないかもしれませんが。ご理解お願いします」
「大丈夫、大丈夫。アンドロイドの女の子と一緒に空を飛んだなんて、話しても信じてくれる人はいないよ。俺以外はね」
と、奏さんは微笑んで言いました。
皆さん信じてくださらないのですか。世知辛いですね。
この場合は有り難いですが。
世界は広いのですから、アンドロイドを空を飛んだ経験のある人間だって、一人や二人、いるかもしれませんよ。
実際今ここに、奏さんという前例が生まれましたしね。
何でも、先入観で判断するのは良くないでしょう。
生きていれば、どのような経験をすることになるかは、分からないものです。
「…あ」
と、奏さんは言いました。
「どうしました?」
「やば…。もう、門限過ぎてる」
と、奏さんは腕時計を見ながら言いました。
なんと。
「それは申し訳ありません。そこまで気が回りませんでした」
と、私は謝罪しました。
空中散歩に夢中で、奏さんの暮らす施設に、門限があったことを失念していました。
「大丈夫、大丈夫。少々遅れたって、ちょっと怒られるだけで済むから」
と、奏さんは言いました。
ですが、怒られるのですよね。
「本当に大丈夫ですか?罰として奏さんが、ファラリスの雄牛の刑を受けるようなことがないか、私は心配です」
「ファラリ…何それ?」
と、奏さんは聞きました。
ファラリスの雄牛、ご存知ないのですか。
知らないということは、時に幸せなことです。
「私も一緒に謝罪させてください。奏さんを連れ回したのは私ですから」
「いや、平気平気。大丈夫」
「では、せめて施設までお贈りします。少しでも早く帰れるよう、私が奏さんをうんぱ、」
「あ、うん大丈夫。間に合ってる。さっき運搬されたようなものだし」
と、奏さんは急いで言いました。
私に運搬された方が、遥かに早く帰ることが出来るというのに。
何故頑なに、運搬だけは拒まれるのか。
不思議ですね。
私は再び、飛び立った自分のアパートの屋上に戻り。
抱きかかえていた奏さんを、車椅子に降ろしました。
「はぁ、はぁ…。地面だ。地面がある…」
と、奏さんは疲れたように言いました。
はい、地面はあります。
今更どうされたのですか。
「空を飛ぶのも良いけど…。やっぱり、人間は地に足を着けて生きる生き物なんだって、実感するよ」
「そうですか」
と、私は言いました。
「空中散歩は、お気に召しませんでしたか?」
「まさか、凄く楽しかったよ。怖かったけど」
と、奏さんは言いました。
奏さんは、高所恐怖症、という奴なのかもしれません。
「ありがとう。本当に…ありがとうね、瑠璃華さん」
「いえ、お気になさらず」
と、私は言いました。
そして、バーチャルウイングを閉じ、通常モードに戻りました。
勝手に戦闘モードに移行し、人間にバーチャルウイングを見せてしまったこと。
後で、久露花局長に怒られてしまうかもしれませんね。
そのときは…。
…そのときは、しらばっくれましよう。
これは必要な犠牲です。親友と素敵な景色を楽しむ為に。
それから。
「奏さん。一応、先程のバーチャルウイングのことは、他言しないでもらえませんか。『Neo Sanctus Floralia』の重要機密の一つなのです」
「え?うん。勿論」
「隠し事をするのは、気が進まないかもしれませんが。ご理解お願いします」
「大丈夫、大丈夫。アンドロイドの女の子と一緒に空を飛んだなんて、話しても信じてくれる人はいないよ。俺以外はね」
と、奏さんは微笑んで言いました。
皆さん信じてくださらないのですか。世知辛いですね。
この場合は有り難いですが。
世界は広いのですから、アンドロイドを空を飛んだ経験のある人間だって、一人や二人、いるかもしれませんよ。
実際今ここに、奏さんという前例が生まれましたしね。
何でも、先入観で判断するのは良くないでしょう。
生きていれば、どのような経験をすることになるかは、分からないものです。
「…あ」
と、奏さんは言いました。
「どうしました?」
「やば…。もう、門限過ぎてる」
と、奏さんは腕時計を見ながら言いました。
なんと。
「それは申し訳ありません。そこまで気が回りませんでした」
と、私は謝罪しました。
空中散歩に夢中で、奏さんの暮らす施設に、門限があったことを失念していました。
「大丈夫、大丈夫。少々遅れたって、ちょっと怒られるだけで済むから」
と、奏さんは言いました。
ですが、怒られるのですよね。
「本当に大丈夫ですか?罰として奏さんが、ファラリスの雄牛の刑を受けるようなことがないか、私は心配です」
「ファラリ…何それ?」
と、奏さんは聞きました。
ファラリスの雄牛、ご存知ないのですか。
知らないということは、時に幸せなことです。
「私も一緒に謝罪させてください。奏さんを連れ回したのは私ですから」
「いや、平気平気。大丈夫」
「では、せめて施設までお贈りします。少しでも早く帰れるよう、私が奏さんをうんぱ、」
「あ、うん大丈夫。間に合ってる。さっき運搬されたようなものだし」
と、奏さんは急いで言いました。
私に運搬された方が、遥かに早く帰ることが出来るというのに。
何故頑なに、運搬だけは拒まれるのか。
不思議ですね。

