アンドロイド・ニューワールドⅡ

その日の放課後。

奏さんは琥珀さんと一緒に下校してしまったので、私は一人で帰宅しました。 

自宅アパートの玄関を開け、中に入ると。

またしても、私の部屋に、空き巣が入っていました。

「…」 

「…あ、どうもお邪魔してます」

と、空き巣犯は言いました。

見ると空き巣犯は、先日久露花局長から届いた、バレンタインのフォンダンショコラをもぐもぐと食べていました。

空き巣を働いた上に、強盗とは。

非常に凶悪犯です。

しかし、私には欠片ほどの怒りも、不快感も湧きませんでした。

「…何をしに来たのですか、碧衣さん」

と、私は強盗犯…もとい、

碧衣さんに、そう聞きました。

「紺奈局長の言った通り、本当にあなた、重症なんですね」

と、碧衣さんは私の質問に答えず、そう言いました。

…重症?

どういう意味ですか。

「気づいてました?僕、あなたが学校を出てからずーっと、あなたの後ろをつけてたんです」

と、碧衣さんは言いました。

…なんと。

そうだったのですか。

「…全く気づきませんでした」

「ですよね。全然気づかれてないから、逆にビビりました」

「さすが、第2局のステルス機能ですね」

「はい。勿論紺奈局長の技術は素晴らしいですが、あれだけ長々と尾行しているのに気づかないのは、さすがにあなたが間抜け過ぎるからだと思います」

と、碧衣さんは言いました。

そうですか。

そうかもしれませんね。

これまでも、碧衣さんの尾行に遭遇したことはありますが。

何だかんだ、途中で気づいていましたから。

種明かしされるまで気づかないなんて、初めてです。

それだけ、碧衣さんのステルス機能がハイテクなのか。

あるいは、私の能力が劣ってしまっているのか…。

恐らくは、後者です。