アンドロイド・ニューワールドⅡ

しかし、この中で唯一未成年である奏さんは、納得が出来なかったようで。

「分かった。よし、全員オレンジジュースにしよう」

と、奏さんは真顔で言いました。

「え?僕ブランデーのロック…」

「全員オレンジジュースにしよう」

「私はスパークリングワインを、」

「全員オレンジジュースにしよう」

「私は日本酒を飲みたかったのですが」

「全員オレンジジュースにしよう」

と、奏さんは4回言いました。

同じことを4回です。

いくら大切なことでも、さすがに4回は言い過ぎです。

絶対にオレンジジュース以外譲らないという、強い意志を感じます。

…一体、何が奏さんを、これほどまでに頑なにさせているのでしょう。

それとも、奏さんは極度のオレンジジュース愛好家なのでしょうか。

その割には、紅茶とかコーヒーとか、普通に飲んでいましたが。

…あ、もしかして。

「大丈夫です、奏さん。お酒を飲んで車椅子を押しても、飲酒運転にはなりませ、」

「全員オレンジジュースにしよう」

と、奏さんは5回目の台詞を言いました。

笑顔です。

貼り付けたような笑顔です。

何を言われようとも、絶対に譲る気はないと言いたそうですね。

…そこまで言われては、仕方ありません。

「仕方ありません。ここは奏さんの顔を立てて…全員オレンジジュースにしましょう」

と、私は言いました。

「えー。つまらないですねぇ」

「まぁ、まだ昼間ですから。人間も、昼酒は良くないと言いますし」

と、碧衣さんと琥珀さんは言いました。

こうして私達は、奏さんの強い希望により。

全員、オレンジジュースを飲むことにしました。

日本酒、ちょっと飲みたかったのですが。

仕方ありませんね。また別の機会にしましょう。