アンドロイド・ニューワールドⅡ

しかし、いつの間にか。

奏さんに、アンドロイドの友達が増えていますね。

これほどアンドロイドの友人を持つ人間は、『Neo Sanctus Floralia』の人間を除けば、奏さんくらいでしょう。

三人ですからね。

アンドロイドの友人を多く持つ人間として、ギネスブックに載れます。

何でも一番を目指すのは良いことですね。おめでとうございます。

「俺、何も持ってきてないから…。せめて、BGMにクリスマスソングでも流すよ…」

と、奏さんは言いながら、自身のスマートフォンをタップしました。

途端に、部屋の中に陽気なメロディが流れ始めました。

これは如何に。

「初めて聴く曲です」

「はい。とても興味深いですね」

「え、皆クリスマスソング知らないの?」

と、奏さんは聞きました。

『Neo Sanctus Floralia』に、クリスマスはありませんでしたからね。

「クリスマスなのに、歌を歌うのですか?」

「クリスマスだからこそ歌うんだよ。色々あるよ、クリスマスソング。ループ再生するから、ずっと流していよう」

と、奏さんは言いました。

飾り付けのみならず、BGMまでクリスマス仕様とは。

もう、これだけでクリスマス会を完結させて良いような気がします。

「さて、それじゃあ早速…冷める前に、料理を食べましょうか」

「あ、早速食べるんだ…」

「はい。何か問題が?」

「いや、何もないよ」

と、奏さんは言いました。

では早速、碧衣さんが作ってきてくれた、お手製クリスマスメニューを頂きましょうか。

何だか、パーティー感が増してきましたね。

「皆さん、飲み物は何にします?」

と、琥珀さんは、キッチンの冷蔵庫を漁りながら聞きました。

飲み物ですか。

「選択肢は何がありますか?」

「そうですね…水、オレンジジュース、日本酒、スパークリングワイン、ブランデーとラムがあります」

「ちょっと待って。前半二つ以外全部おかしい!」

「あ、じゃあ僕ブランデーで」

「君もちょっと待とうか!?」

と、奏さんは叫びました。

何だか、奏さんが異論を唱えていますね。

「どうかしましたか、奏さん?」

「君達がどうかしてるよ!」

と、奏さんは再び叫びました。

荒ぶっていらっしゃいますが、どうされたのでしょう。

「一体どうしたんですかね、いきなり…。あ、琥珀さんサイダーあります?」

「済みません、今切らしているようですね。氷ならあります」

「じゃ、ロックで」

「優雅に嗜んでらっしゃる…!?」

と、奏さんは愕然として言いました。

本当にどうされたのでしょう。

「え、ギャグ?ギャグなの?アンドロイドジョーク?」

と、奏さんは真顔で聞きました。

何ですか、アンドロイドジョークって。

「誰もふざけてなどいませんが…」

「そっか。余計タチが悪いね!」

と、奏さんは言いました。

やっぱり真顔です。

「真面目に言うけど、俺、高校生の飲酒は駄目だと思うんだ」

「あ、そんなことを気にしていたんですか?奏先輩」

「気にするでしょ。むしろ何で君達気にしてないの…!?」

「アンドロイドに、年齢の概念はありませんから」

と、私は答えました。

強いて言うなら、製造されてから今日に至るまでの稼働年数なら、数えています。

この場にいる三人共、三桁は越えてますから。

余裕ですね。