アンドロイド・ニューワールドⅡ

さて。こうして、四人のメンバーが揃ったので。

いよいよ、クリスマス会の始まりです。

どんどんぱふぱふ。

「うわー…。凄い。クリスマスの飾り付け」

と、奏さんは言いました。

会場となる、琥珀さんの部屋のリビングルームは。

さながら、クリスマスパーティー会場そのものになっていました。

学校玄関にも飾ってある、クリスマスツリーは勿論。

部屋中に、キラキラと光るオーナメントが飾ってあります。

この上ない、素晴らしいクリスマス会会場ですね。

このような場所を提供してくださった、琥珀さんに感謝しなければなりません。

さすが、やるからには徹底的に、がモットーの琥珀さんです。

では、私もお土産を出さなくてはなりませんね。

「久露花局長から、『クリスマス会をやるんだったら、これは絶対必要だよね!』ということで…クリスマスのお菓子、3品をお持ちしました」

と、私は紙袋を出して言いました。

中身は、ブッシュ・ド・ノエル、シュトーレン、ジンジャークッキーの3種になります。

一つで良いと思ったのですが、久露花局長としては、3品でもまだ足りなかったようで。

「やっぱりクグロフも要るかな…。そもそも、おっきいクリスマスケーキの方が良いかな?」とか、色々言っていました。

何だか、謎のこだわりがあるようです。

ともあれ。

「ありがとうございます。後で四人で分けましょう」

と、琥珀さんは言いました。

更に、それだけではありません。

「実は、僕も色々作って持ってきたんですけど」

と、碧衣さんは言いました。

なんと。碧衣さんもお土産持参ですか。

「碧衣さんも、クリスマススイーツですか?」

「いえ、僕はスイーツではなく、クリスマスの定番料理を。ローストチキンとポテトサラダ、キッシュ、それから魔法瓶にビーフシチューを」

と、碧衣さんは言いながら、次々と料理を入れたタッパーと魔法瓶を、テーブルに並べました。

これまた、本格的ですね。

私を含め、『新世界アンドロイド』は料理が上手です。

「僕達アンドロイドは、食事の必要はないですけど。まぁクリスマスのときくらい、クリスマス定番料理を食べるくらいのことは、してみても良いかと思いまして」

「成程、そうですね。折角のクリスマス会ですし」

と、私は言いました。

何だか、一気に本格的なクリスマス会になりましたね。

「…ごめん。なんか俺だけ手ぶらで参加しちゃって。今、凄くいたたまれない気持ちでいっぱいだよ」

と、奏さんが真顔で言いました。

「別に、気になさらなくて結構ですよ」

「気にするなと言われたら、余計申し訳なくなる奴…」

と、奏さんは呟きました。

「そういえば、この場であなた一人だけ、種族が違うんですよね」

と、碧衣さんは言いました。
 
言われてみれば、そうですね。

奏さんだけが人間です。

「え?あぁ…。そういえばそうか。二人共、瑠璃華さんの親戚なんだから…。あれ?何だか俺、従兄弟同士のクリスマスパーティーに、うっかり参加しちゃってる部外者なのでは…?」

と、奏さんは遠い目で言いました。

「奏さんは私の親友であり、琥珀さんの友人でもありますから、気になさらなくて大丈夫ですよ」

「何なら、これを機に僕とも友人になりましょうか。学校どころか、種族も違いますけど、それは今更でしょう」

と、碧衣さんは言いました。

それは名案ですね。

「え、あ、うん。えぇと、どうも。宜しくお願いします…」

「そんな堅苦しくならなくても。大丈夫、僕基本的に、紺奈局長にしか興味ないんで。宜しくお願いしますね」

「…笑顔で興味ないって言われた…」

と、奏さんは呟きました。

大丈夫、碧衣さんはそういうアンドロイドですから。

気にすることはありません。