「こんにちは、碧衣さん」
「えぇ、どうもこんにちは」
と、碧衣さんは答えました。
碧衣さんもクリスマス仕様に着替えを、と…言う必要はありませんでした。
何故なら。
「どうでしょう。今日の為に、衣装を用意してきました。似合いますか?」
と、碧衣さんは聞きました。
本日の碧衣さんは、洒落た黒いスーツを着ていました。
ネクタイは赤です。
「とても似合っていますが、それは何の衣装ですか?」
「クリスマスのホストをイメージしてみました。ブラックサンタってのもいるそうですし。格好良いかなと思いまして」
と、碧衣さんは言いました。
成程、碧衣さんなりにクリスマスをイメージしてみたのですね。
よく似合っています。
「嘘でしょ…めちゃめちゃ格好良いじゃん…。俺のトナカイって一体…」
と、奏さんはまた、ぶつぶつ呟いています。
はっきり喋ってくれて良いんですよ。
「碧衣先輩にも衣装を用意していたのですが、既に着用されているのなら、必要ありませんでしたね」
と、琥珀さんは言いました。
「…」
と、碧衣さんは無言で、琥珀さんを見つめていました。
「…」
と、琥珀さんも琥珀さんで、そんな碧衣さんを無言で見つめていました。
…謎の、無言の駆け引きが発生しています。
そういえばこの二人、以前会ったときは、一触即発の喧嘩寸前状態に陥ったのですよね。
あれ以来、一度も会っていないどころか、連絡も取っていないことと推測します。
つまり、人間で言うところの、とても気まずい雰囲気という奴ですね。
大丈夫でしょうか。
私は、何か声をかけた方が良いのでしょうか。
また何か起きそうになったら、再び私が止めに入るつもりです。
すると。
「…?どうかしたの?二人共」
と、何も知らない奏さんが聞きました。
この中で唯一の人間であり、そして唯一、この二人の事情を知らない奏さんだからこそ。
純粋に、この二人に声をかけることが出来ます。
再び一触即発か、と思われたところ。
「…いえ、何もないですよ。珍しい格好してるなぁって、ちょっと見とれてただけです」
と、碧衣さんは事も無げに言いました。
なんと。
碧衣さんの方から折れましたね。
そして。
「はい。私も、碧衣先輩の初めて見る格好に、見とれていました」
と、琥珀さんも言いました。
「クリスマスのサンタコスチュームですか。似合いますね琥珀さん」
「ありがとうございます。碧衣先輩も、よく似合っていると思います」
と、碧衣さんと琥珀さんは言いました。
ご覧になりましたか。
警告が必要なほど、互いに対立し合っていたあのお二人が。
何事もなかったかのように、普通に接しています。
喧嘩が起こらなくて良かった、どころではありませんね。
むしろ仲良くなさっているのを見て、私は驚きました。
うわべだけの、お世辞なのかもしれませんが。
それでも、衝突していないだけ、素晴らしいことだと思います。
これは、後で久露花局長にも報告ですね。
「えぇ、どうもこんにちは」
と、碧衣さんは答えました。
碧衣さんもクリスマス仕様に着替えを、と…言う必要はありませんでした。
何故なら。
「どうでしょう。今日の為に、衣装を用意してきました。似合いますか?」
と、碧衣さんは聞きました。
本日の碧衣さんは、洒落た黒いスーツを着ていました。
ネクタイは赤です。
「とても似合っていますが、それは何の衣装ですか?」
「クリスマスのホストをイメージしてみました。ブラックサンタってのもいるそうですし。格好良いかなと思いまして」
と、碧衣さんは言いました。
成程、碧衣さんなりにクリスマスをイメージしてみたのですね。
よく似合っています。
「嘘でしょ…めちゃめちゃ格好良いじゃん…。俺のトナカイって一体…」
と、奏さんはまた、ぶつぶつ呟いています。
はっきり喋ってくれて良いんですよ。
「碧衣先輩にも衣装を用意していたのですが、既に着用されているのなら、必要ありませんでしたね」
と、琥珀さんは言いました。
「…」
と、碧衣さんは無言で、琥珀さんを見つめていました。
「…」
と、琥珀さんも琥珀さんで、そんな碧衣さんを無言で見つめていました。
…謎の、無言の駆け引きが発生しています。
そういえばこの二人、以前会ったときは、一触即発の喧嘩寸前状態に陥ったのですよね。
あれ以来、一度も会っていないどころか、連絡も取っていないことと推測します。
つまり、人間で言うところの、とても気まずい雰囲気という奴ですね。
大丈夫でしょうか。
私は、何か声をかけた方が良いのでしょうか。
また何か起きそうになったら、再び私が止めに入るつもりです。
すると。
「…?どうかしたの?二人共」
と、何も知らない奏さんが聞きました。
この中で唯一の人間であり、そして唯一、この二人の事情を知らない奏さんだからこそ。
純粋に、この二人に声をかけることが出来ます。
再び一触即発か、と思われたところ。
「…いえ、何もないですよ。珍しい格好してるなぁって、ちょっと見とれてただけです」
と、碧衣さんは事も無げに言いました。
なんと。
碧衣さんの方から折れましたね。
そして。
「はい。私も、碧衣先輩の初めて見る格好に、見とれていました」
と、琥珀さんも言いました。
「クリスマスのサンタコスチュームですか。似合いますね琥珀さん」
「ありがとうございます。碧衣先輩も、よく似合っていると思います」
と、碧衣さんと琥珀さんは言いました。
ご覧になりましたか。
警告が必要なほど、互いに対立し合っていたあのお二人が。
何事もなかったかのように、普通に接しています。
喧嘩が起こらなくて良かった、どころではありませんね。
むしろ仲良くなさっているのを見て、私は驚きました。
うわべだけの、お世辞なのかもしれませんが。
それでも、衝突していないだけ、素晴らしいことだと思います。
これは、後で久露花局長にも報告ですね。


