アンドロイド・ニューワールドⅡ

…10分後。

私も、奏さんも、衣装が変わりました。

私は、雪だるまを模した、ノースリーブの白いワンピースに身を包み、琥珀さんとお揃いの、角の生えた帽子を被りました。

そして奏さんは、トナカイの着ぐるみを着て、トナカイのカチューシャを被っていました。

実にクリスマスですね。

雰囲気が出てきました。

「どうですか、奏さん。私は雪だるまです」

「…うん…。凄く似合ってると思うよ」

と、奏さんは言いました。

何故か、私から視線を逸らしています。

…こちらを見ずに、似合っていると言われても。

説得力がありませんね。

「ちゃんと、こちらを見て評価してください」

「いや、うん。そうしたいんだけど…出来ないんだよ、そのノースリーブの…際どいワンピースが…」

「…?」

「もうちょっとこう…破廉恥じゃない衣装が良かった。似合ってるけども。でも、あのね、胸が、見えそう…」

と、奏さんはぶつぶつ呟いていました。

際どい?破廉恥?

胸がどうとか言っていましたね。

私の胸部が奏さんに見えることによって、奏さんに何の損害があるのでしょうか。

「何かありましたか、奏さん」

「むしろ、これから何かありそうで怖い」 

と、奏さんは真顔で言いました。

また真顔モードです。

「…?どういう意味ですか。分かりますか、琥珀さん」

「さぁ。私にも理解不能です」

と、琥珀さんは言いました。

ですよね。

「本当に分かってなくて言ってるから、タチが悪いよ…」

と、奏さんはぶつぶつ呟いていました。

何だか、奏さんが不満そうですね。

「着替えた方が良いですか?」

「いや…うん、良いよそのままで。何だかんだ、似合ってるのは事実だから。ようは、俺がスケベ心を出さなければ良いだけ。俺は一日、綺麗な心で生きるよ」

と、奏さんは真顔で言いました。

言っていることの意味が分かりませんが。

そのままで良いと言われたので、そのままでいましょう。

…すると。

「こんにちはー。お邪魔しますよ」

と、玄関から、碧衣さんの声が聞こえました。

来ましたね。クリスマス会、最後のメンバーが。