アンドロイド・ニューワールドⅡ

「奏さん、どうかしました?」

「え?え?いや…。どうかしてるのは琥珀さんじゃない?」

と、奏さんは言いました。

「何がですか?琥珀さんが、何かおかしいですか?」

「お、おかしいも何も…。そのサンタケープはどうしたの?」

と、奏さんは聞きました。

サンタケープ?

と言うと…。

「琥珀さんの格好ですか?」

「そうだよ。どうしたのその格好。コスプレ…?」

と、奏さんは聞きました。

現在琥珀さんは、いつもの制服とは違う衣装を身に着けています。

赤い布地に、白いポンポンのついたケープを着て。

頭には、お揃いの帽子を被っていました。

「ご存知でしたか、奏先輩。これはサンタクロースという老人のコスチュームプレイです」

と、琥珀さんは言いました。

「クリスマスの深夜に、小さな子供のいる各家々に侵入し、その子供の枕元に、怪しげな荷物を置いて立ち去るのが仕事だそうです」

「うん…。琥珀さんが言うと、サンタクロースが夢も希望もない感じになるね」

と、奏さんは遠い目をして言いました。

遠い目モードに入りましたね。

成程、そのような老人がいるのですか。

それは不審人物ですね。

「しかし、折角のクリスマス会ですから、クリスマス気分を味わってみようと思いまして、このようなコスチュームを用意した次第です」

と、琥珀さんは言いました。

さすが、何事も本格的ですね。

「ちなみに、瑠璃華先輩と奏先輩の分も、コスチュームを用意してあります」

「えっ、俺も…?」

「はい。皆さんそれぞれ用意してありますので、中に入ってお着替えください」

と、琥珀さんは言いました。

成程。それは楽しそうですね。
 
折角のクリスマス会なのですから、雰囲気を大事にしましょう。

「手前の部屋に、それぞれコスチュームを用意しています。それに着替えてから、リビングにどうぞ」

「分かりました。奏さん、着替えましょう」

「う、うん。着替えるのは良いけど…。瑠璃華さんが先ね、俺は次に着替えるから」

「?何故順番に?一緒に着替えれば良いのでは?」

「…これを本気で言ってるんだから、瑠璃華さんもタチが悪いよ…」

と、奏さんは呟きました。

結局、私が先に着替え、その後に奏さんが着替えることになりました。

一緒に着替えれば、時間の短縮になるのに。何故拒まれるのか不思議です。