アンドロイド・ニューワールドⅡ

最短ルートを通って、無事に、琥珀さんのご自宅に到着しました。

琥珀さんが住んでいるのは、まだ真新しい、建てられたばかりの立派なマンションでした。

「え、琥珀さんってここに住んでるの?」

と、奏さんはマンションを見上げながら聞きました。

「はい、住所はここになっています。ここの…18階の部屋ですね」

「凄い上の方…!…琥珀さんって、お金持ちだったんだ」

と、奏さんは驚いたように言いました。

私も、琥珀さんの住まいにやって来るのは初めてです。

琥珀さんがお金持ちと言うよりは、これは橙乃局長のご意向でしょうね。

負けず嫌いな方ですから。誰にも引けを取らない、立派な住処を、と思ったのでしょう。

何だか、私だけ凄く安上がりな住居ではないでしょうか。

確かに安上がりではありますが、私は自分の住居に不満はありません。

あの部屋は、いつだってエンターテイメントに溢れていますから。

昨日の夜なんて、上の階から、下手くそなブルースが流れてきて。

まるで、一風変わったバーにいるような、そんな気分を味わえました。

それが無料で楽しめるのですから、素晴らしいですね。

さて、それはともかく。

「それでは、琥珀さんの部屋に向かいましょう」

「俺、こんな立派なタワーマンションに入るの、初めてだよ…」

「大丈夫です。私も初めてですから」

と、私は言いました。

『Neo Sanctus Floralia』本部には、もっと高い建物があるのですが。

このようなマンションに入るのは、これが初めてですね。

何だか、高級感があります。

…会員制じゃないですよね? 

と、思ったりもしましたが…特に問題なく、入ることが出来ました。

早速、琥珀さんの部屋に向かうと。

「ようこそいらっしゃいました」

と、琥珀さんが迎えてくれました。

「こんにちは、琥珀さん。お邪魔します」

と、私は言いました。

その間、奏さんはポカンとして、琥珀さんを見上げていました。

…どうかしたのでしょうか。