アンドロイド・ニューワールドⅡ

私は時間をかけて、全ての経緯を説明しました。

この時点で、いつもの定期連絡の、三倍の時間は経過していますね。

今日は長いです。

すると、全てを聞き終えた久露花局長は。

『成程…成程。…成程なぁ…』

と、成程を連呼していました。

何を理解したのでしょうか。

『成程…。瑠璃華ちゃんが超苛ついてる理由が分かったよ』

と、局長は言いました。

そうですか。

私は苛ついてなどいません。

ちょっと、胸の異物感に苦しんでいるだけです。

「この感情は何なのでしょう。とても不快です」

と、私は聞きました。

久露花局長なら、理解出来るかと思ったのです。

「奏さんに言い寄る琥珀さんを見ていると、どうにも胸の異物感が消えません。そしてとても…破壊的と言いますか、怒りに似た感情を覚えます」

『うん』

「しかし、怒りとはまた違う感情のように思えます。この不快感の正体は、何なのでしょうか」

と、私は聞きました。

すると。

『瑠璃華ちゃんが大変なのは分かってるよ。この二週間、よく耐えたと思う』

と、局長は言いました。

大変…?

別に大変ではありません。ただちょっと、胸の異物感に苦しんでいるだけで…。

…それが大変なのでしょうか?

『でも私としては、瑠璃華ちゃんがそんな…新しい感情に芽生えていると知って、嬉しいかな』

と、局長は言いました。

新しい感情?私が?

『ね、翠ちゃん』

『はい…。純粋な喜怒哀楽よりも、ずっと高度な感情ですから』

と、朝比奈副局長も言いました。

…。

局長と副局長が、揃って喜ぶほどの感情を…私は我が物にしたのですか。

それは一体、どのような感情で…。

『瑠璃華ちゃんはね、嫉妬してるんだよ。琥珀ちゃんが奏君と仲良くしてるのを見て、嫉妬してるの』

と、久露花局長は言いました。

嫉妬。

それが、私の中に芽生えた、新たな感情だと言うのですか。