アンドロイド・ニューワールドⅡ

『いやぁあれは最高だったな〜。橙乃局長に感謝しなきゃ』

「ちっ」

と、私は舌打ちしました。

理由は、相変わらず不明です。

『…瑠璃華ちゃん、大丈夫?どうしたの?』

と、局長は聞きました。

「何も問題ありません」

『いや、でもさっきからなんか、様子が…』

「普通です」

『そ、そっか…。…あ、そうだ。ところで』

「何でしょうか」

と、私は聞きました。

用件があるなら、早いところ終わらせて欲しいですね。

『この間、瑠璃華ちゃんがそっちに帰った日に』

「はい」

『私の秘密の隠し場所から、秘蔵のチョコレートが消えてたんだけど』

「…はい」

『瑠璃華ちゃん、何か知らない?』

と、久露花局長は聞きました。

…ふむ。

「残念ですが、何も存じません」

『そっか…。瑠璃華ちゃんも知らないか。…一体何処に消えたんだろうなぁ…』

「とても美味しかったです」

『やっぱり瑠璃華ちゃんの仕業なの!?』

と、局長は食い気味に聞きました。

いえ、私は何も存じません。

美味しかったです。

『はぁ…。…まぁ良いや。瑠璃華ちゃんが止めてくれたお陰で、碧衣君と琥珀ちゃんの喧嘩、止められたんだから。あれ、ありがとうね。止めてくれてたすかっ、』

「あの件ですか。今更ですが、止めずに喧嘩させておくべきだったと、後悔しています」

『!?』

と、久露花局長は目を見開きました。

何かあったのでしょうか。

『…あの、瑠璃華ちゃん』

「はい、何ですか」

『一体どうしたの、さっきから。何だか様子がおかしいよ』

と、局長は言いました。

様子がおかしい?

確かに、私は今原因不明の体調不良に襲われています。

が、その話を局長にするつもりはないので。

「何も問題ありません」

と、私は答えました。

『いや…でも、何だか明らかに変だよ?いつもよりつっけんどんだし…』

「私はいつも通りです」

『私のチョコレートまで持っていっちゃうし』

「それもいつも通りです」

『いつも通りには、しないで欲しかったな…』

「そうですか」

と、私は言いました。

『何かあったの?』

「いいえ、何もありません」

と、私は主張しました。

えぇ、何もありません。

何も、

『そう?それなら良いけど…。あ、そうだ。琥珀ちゃんが転入してきてから、どう?仲良くしてる?』

「ウイルスに感染して、破損すれば良いと思います」

『やっぱり絶対何かあったよね!?』

と、久露花局長は叫びました。

おっと。つい口をついて、思ってもいない言葉が出てしまいました。

しかし、言ってしまったからには、後の祭りですね。