アンドロイド・ニューワールドⅡ

…五分後。

「…冷却が完了しました。久露花局長、通信を再開してください」

『あ、うんお疲れ様…。一体どうしたの?いきなり…』

「いえ、何でもありません」

と、私は答えました。

ちょっと、久露花局長を殴りたい衝動に駆られただけです。

特に問題はありません。

画面の向こうにいて助かりましたね、局長。

『ま、まぁそれはともかく…。どう?学校に戻ってから、調子はどう?』

「そうですね…」

と、私は言いながら、何と答えるかを考えました。

現在私の調子は、あまり良いとは言えません。

毎日、胸の異物感に苦しんでいますし。

正体不明の怒りに苛まれ、每日不満でいっぱいです。

これがどういう感情なのか、分からないのがまたもどかしいです。

…という、複雑な心境です。

上記のことを、久露花局長に説明しても良いのですが。

いえ、説明すべきなのでしょうが。

…。

…何だか、説明する気が起きません。

人間で言うところの、「面倒臭い」という奴です。

従って。

「特に異常はありません」

と、私は答えました。

異常しかないのですが、何故こんな風に答えてしまうのか、自分でも疑問です。

早く通信終わらないかな、とまで思ってしまいます。

『そう?…そっか…。異常がないなら良かった』

「はい」

『ちなみに、私はすこぶる元気なんだよ!何と言っても、この間橙乃局長からね、先日の、碧衣君と琥珀ちゃんの、』

「ちっ」

と、私は舌打ちしました。

理由は不明です。

何故か、局長の口から琥珀さんの名前が出てきただけで。

舌打ちしてしまいたくなったのです。謎の衝動です。

『…瑠璃華ちゃん、大丈夫?』

と、局長は目を丸くして聞きました。

「はい、問題ありません」

『…それなら良いけど…。それでね、橙乃局長から、お詫びにってチョコレート送ってもらったんだよ〜』

「それは良かったですね」

『でしょ?それが珍しいケーキでね。チョコレートチーズケーキだったんだ。すっごく美味しかった〜』

と、久露花局長は嬉しそうに言いました。

橙乃局長まで、チーズケーキですか。

第1局所属のメンバーは、総じてチーズケーキに縁があるのかもしれません。

前世が乳牛だったのでしょうか。