アンドロイド・ニューワールドⅡ

さて、その数時間後。

その日は、『Neo Sanctus Floralia』第4局との、定期連絡の日でした。

『やっほー、瑠璃華ちゃん。元気〜?』

と、画面の向こうで、久露花局長がへらへらと手を振りました。

「…」

『何だか寒くなってきたよねぇ最近。こんな季節になると、あったか〜いフォンダンショコラが美味しくなるよね。まぁフォンダンショコラは、一年を通して美味しいけどね!』

「…」

と、私は無言でした。

…何でしょう。

久露花局長の、いつものへらへらとした挨拶のはずなのですが。

今日は、いつもとは違う気がします。

何故か、私は今。

このへらへら顔の、久露花局長の横っ面を、ぶん殴りたい衝動に駆られています。

この破壊衝動は良くないですね。

そもそもモニター越しなのですから、殴ろうと思っても殴れません。

残念です。

仕方がありませんので、私は別の策を講じることにしました。

「…冷却システムを稼働します」

『えっ?ど、どどうしたの?』

と、久露花局長は聞きましたが。

「ただいま冷却中です。しばらくお待ち下さい」

『あ、う、うん…。何で冷却…?』

と、久露花局長は首を傾げました。

あなたの顔面を殴りたい衝動を、必死に抑えたいが為の冷却です、とは。

伝えない方が良いだろうと判断しました。