アンドロイド・ニューワールドⅡ

そして、調理実習の前日。

放課後を迎えました。

さて、これから、明日の為に買い物に行かなくてはなりませんね。

学生鞄を持って、すっくと立ち上がったところ。

「湯野ちゃーん。この後アイス食べて帰らない?」

「あ、行く行く〜」

と、湯野さんはクラスメイトに誘われて、鞄を持って教室から出ていきました。

…あれ?湯野さん、今日は塾だったのでは?

だから買い物係を辞退したのでは?

「…瑠璃華さん…」

と、奏さんは暗い顔で声をかけてきました。

「やっぱり…嘘だったんだ。買い物係を任せられるのが嫌だから、塾だなんて嘘ついて…」

と、奏さんは言いました。

しかし。

「いえ、安易に人を疑うものではありません。もしかしたら、アイスを食べながら塾に行くのかもしれません」

「そんな塾はないでしょ…」

「分かりませんよ。世界は広いですから、中にはそんな塾があるかもしれません」

と、私は言いました。

実際に、『Neo Sanctus Floralia』第4局の久露花局長も。

チョコレートを摂取しながらの方が捗るからと、チョコレートをもぐもぐ食べながら、研究室にこもっていたこともありますし。

彼女も、アイスクリームを食べながらの方が、勉強の効率が上がるのかもしれません。

「瑠璃華さんは、人が良過ぎだよ…」

と、奏さんは言いました。

お褒めの言葉なのかもしれませんが、私は人ではなく、アンドロイドです。

「それより、我々は予定通り、買い出しに行きましょう」

「…うん、そうだね。買うもの多いし…急いで行こう」

「はい」

と、私は言いました。

そして、奏さんの車椅子のハンドルを握りました。

いざ、買い出しに出発です。