アンドロイド・ニューワールドⅡ

更に、他の3品のレシピについては。

鮭茶漬けのレシピを持ってきた男子生徒は、散々面倒臭がっていたからか、とてもシンプルなレシピでした。

ポタージュの方は、比較対象がないのでよく分かりませんが、意外と工程がたくさんあって、大変そうでした。

そして、ステーキを作ることになっている女子生徒が持ってきたレシピを、見せてもらうと。

「ステーキって、チキンステーキのことだったんですね」

と、私は言いました。

彼女が持ってきたレシピは、ステーキはステーキでも、チキンステーキでした。

そういえば、ステーキとは言っていても、何のステーキかは決めていませんでしたね。

豆腐かもしれませんし、ナスかもしれません。

だとしたら、とてもヘルシーなメニューですね。

ですが、彼女が持ってきたのは、チキンステーキのレシピでした。

しかも、鶏の胸、鶏もも、手羽元の三種豪華盛りステーキです。

これって、実質3品なのでは?

と、私は思ったのですが。

「牛肉よりは安上がりだし、ステーキなんかただ焼くだけなんだから、これくらい豪華な方が良いでしょ?」

と、奏さんを幽霊呼ばわりした、ステーキ担当の女子生徒は、得意顔で言いました。

湯野さんと言い彼女と言い、何故料理に豪華さを求めるのでしょう。

調理実習である以上、見栄えは確かに大切かもしれませんが。

まずは、確実に作ることが出来るレシピを選ぶべきではないか、と思うのですが…。

「三種類も焼くのか…。素直に、一種類にした方が良いんじゃないかな」

と、奏さんは提案しました。

私も、同じことを思いました。

しかし。

「は?黙っててくれる?作るのは私なんだから」

と、ステーキ担当の女子生徒は、つっけんどんに言いました。

確かに、担当するのはあなたですが。

しかし、私達は同じグループなのであって、意見を口にするのは間違っていないはずです。

「どうせ焼くだけなんだから、楽勝でしょ」

「でも…焼き時間がかかるかもしれないし…」

「どれだけ長々と焼くつもりでいるのよ。こんなの、10分もあったら出来るわよ」

と、ステーキ担当の女子生徒は、奏さんの反論を一蹴しました。

「…」

そう言われては、奏さんも何も言い返せません。

一方、鮭茶漬け担当の男子生徒だけは、我関せずとばかりに無視を決め込んでいました。

結局、彼女達が持ってきたレシピを、それぞれ採用することになり。

それぞれのレシピから材料を書き出し、あとは前日に、これらを全て買ってきて。

当日、調理実習の日を迎えるだけとなりました。

何だかとても不穏な空気を感じるのですが、私の気のせいでしょうか?