アンドロイド・ニューワールドⅡ

一回目の家庭科の授業が、無事に終わりました。

何だか、とても長かったような気がしますね。

とはいえ、生物のグループ課題のときよりは、実のある話し合いだったと思います。

何より、一人だけに押し付けられることはありませんでしたから。

それだけでも、充分な功績です。

…と、私は思っていたのですが。

「瑠璃華さん…大丈夫?」

と、奏さんは心配そうに尋ねました。

「何がですか?」

「何だか…色々引き受けちゃってるから…。負担じゃないかって心配で」

と、奏さんは言いました。

成程、奏さんは心配性ですね。

しかし、それを言うなら。

「奏さんこそ、サブリーダーなのですから、責任はあるのでは?」

「それはそうだけど…。でも、瑠璃華さんほどじゃないでしょ」

と、奏さんは言いました。

「リーダーだって、無理に引き受けることなかったのに…」

「ですが、誰かが引き受けなければならない役目でしょう?」

と、私は言いました。

リーダーになる確率は、6分の1だったのです。

どうせ、6人のうちの誰かがやらなくてはならなかったのですから、それが私であっても、何らおかしくはありません。

「でも…。まとまりのないグループだったでしょ。あのグループの中でリーダーをやるのは…大変だよ、きっと」

と、奏さんは言いました。

「確かに、癖のあるメンバーが揃っていましたね」

「うん…。瑠璃華さんも含めてだけどね」

と、奏さんは言いました。

何のことでしょう。私を含めて?

「ロールケーキなんて、作ったことないけど、きっと大変だよ。生クリーム泡立てたり…。皆、何でも思いつきで口にするから…」

「それは、どの料理でも言えることでは?」

「うん…でも、不安だよ。瑠璃華さん一人が苦労しそうで…。俺も出来るだけ助けるつもりだけど」

「そうですか。それはありがとうございます」

と、私は言いました。

奏さんが助けてくださるのなら、とても心強いですね。

「…それと、材料の買い出しだけど、俺も手伝うよ」

と、奏さんは申し出てくれました。

「本当ですか?無理なさらなくて結構ですよ」

「うん。俺は精々荷物持ちくらいにしかならないけど…。俺も部活はやってないし、塾にも行ってないから。買い出しくらいは協力するよ」

「ありがとうございます」

と、私は言いました。

「何だか先行き不安ではあるけど…。俺もサブリーダーを引き受けたからには、瑠璃華さんを全力で助けるよ」

と、奏さんは心強いお言葉を下さりました。

これだけで、何だかもう、何とかなりそうな気がしてきましたね。