不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました

またもや耳なじみのない単語が出てきてソフィアが混乱していると、ヨハネスがふたりのメイドを呼んで、彼女たちにソフィアを預けた。

「まずは湯あみを。それから、手の空いたものを捕まえて急ぎドレスを買ってくるように伝えてくれますか。あの様子ですと旦那様もすぐにお戻りになられるでしょうから、急いでくださいね」

「かしこまりました」

「参りましょう、お嬢様」

生まれてこの方お嬢様と呼ばれたことのないソフィアはまたしても困惑したが、メイドふたりに両脇を固められて、半ば引きずられるようにしてどこかへ連れていかれてしまった。

たどり着いた先は豪華な部屋だったが、その部屋は素通りで、続き部屋のバスルームに押し込まれると、身につけていたぼろっちい服を問答無用ではぎ取られる。

あれよあれよという間に、もこもこと気持ちのよさそうな泡が浮かんでいる猫足のバスタブに入れられたソフィアは目を白黒させた。

暮らしていたフラットの近くに大衆浴場があったけれど、入浴料が高いので、基本的にソフィアもソフィアの母リゼルテも、濡らした布で体を拭き、たらいに張った湯で髪を洗うことしかしたことがない。

バスタブに入ったこともなければ、このようにメイドふたりに手伝われながら湯を使ったこともなくて、どうしていいのかわからない。

バスタブの中で縮こまっていると、メイドのひとりがソフィアの髪を洗いながら言った。

「どうぞ楽にしていてください。すぐに終わりますから」