そして、オリオンは素早い動作で転がり続けるソフィアの両肩を掴んで抑え込むと、「あー」とか「うー」とか叫んでいる彼女に向かって、低い声で一言訊ねる。
「名前は?」
「篠原花音、十六歳!!」
思わず前世の名前とついでに享年を叫んだソフィアは、ハッと両手で口を押さえた。
しかし時すでに遅し。オリオンはソフィアを抑え込んだまま大きく目を見開いて硬直した。
無言で見つめ合うこと数十秒。その均衡をぶち破ったのは、
「典医長――!」
という典医の叫び声だった。
ハッとしてソフィアを解放したオリオンが、慌てて典医を宥めにかかる。
そしてどうにか落ち着かせて部屋から追い出し、ソフィアとオリオンのふたりきりになると、突然オリオンが笑いだした。
「ぷっ! あ、あははははは!! あーっ、おっかし……!」
ソフィアはギョッとした。確かにあまりのショックに奇声を発してベッドの上を転がったけれど、腹を抱えて笑われるようなことをしただろうか。
茫然としていると、ひとしきり笑ったオリオンが、目尻に浮かんだ涙を拭いながら振り返る。
「あー、なんて言おうかしら……、とりあえず、えっと、十四年ぶり? でいいのかしらね?」
「は?」
「元気そうでなによりだわ、花音?」
「へ?」
「どうも、あんたの親友、橘由紀奈です」
ソフィアはくわっと目を見開いて絶叫した。
「えええええええええええええ!?」
「名前は?」
「篠原花音、十六歳!!」
思わず前世の名前とついでに享年を叫んだソフィアは、ハッと両手で口を押さえた。
しかし時すでに遅し。オリオンはソフィアを抑え込んだまま大きく目を見開いて硬直した。
無言で見つめ合うこと数十秒。その均衡をぶち破ったのは、
「典医長――!」
という典医の叫び声だった。
ハッとしてソフィアを解放したオリオンが、慌てて典医を宥めにかかる。
そしてどうにか落ち着かせて部屋から追い出し、ソフィアとオリオンのふたりきりになると、突然オリオンが笑いだした。
「ぷっ! あ、あははははは!! あーっ、おっかし……!」
ソフィアはギョッとした。確かにあまりのショックに奇声を発してベッドの上を転がったけれど、腹を抱えて笑われるようなことをしただろうか。
茫然としていると、ひとしきり笑ったオリオンが、目尻に浮かんだ涙を拭いながら振り返る。
「あー、なんて言おうかしら……、とりあえず、えっと、十四年ぶり? でいいのかしらね?」
「は?」
「元気そうでなによりだわ、花音?」
「へ?」
「どうも、あんたの親友、橘由紀奈です」
ソフィアはくわっと目を見開いて絶叫した。
「えええええええええええええ!?」


