「仮病で授業抜けてきたの。私は修くんのことが心配だから」

僕は手に持っていたメモをとりあえずポケットに入れて隠した。

「ありがとう。心配してくれて」

「いいのいいの。忘れちゃってる見たいだけど、私たちは仲良しなお友達だったんだよ」

「そうだったんだ」

恋人かもっていう考えがなくなってしまい少し残念だが、友達がいたことは素直にうれしい。

「僕は美月さんのことなんて呼んでたの?」

「どうして?」

「美月さんは僕のこと修くんって呼ぶし、さっき美月さんって言ったら気持ち悪がられたし」

「じゃあ逆に修くんはなんて呼びたいとかあるの?」

クスっと笑ってから、からかうように言われた。

「普通に美月さ」

「それはダメ!」

「まだ言い終わってないけど」

「“美月さん”って普通に呼ばれてもつまらないし」

「じゃあ美月で」

「はぇ!!」

「あれ~照れてるの?自分で呼び方決めていいって言ったのに?」

「急に呼ばれてびっくりしただけだし」

美月の頬は少しだけ赤らんでいたような気がした。

少しからかいすぎた気もしたが、僕もからかわれたから、おあいこだろう。

「それでさ、美月さん。聞きたいこ」

「ゴホン」

さっそく間違えてしまった。

僕は言い直しつつ続けた。

「美月。聞きたいことがあるんだけど…」

「なになに?」

僕は美月に思い切って殺人のことについて聞くことにした。

「僕って人を殺してしまったのかな?」

美月はポカンとした顔をした後、大きな声で笑っていた。

「なんの冗談?修くんはそんなことする人じゃないでしょ~!」

「そうだよね。さっき先生たちから、その事を言われたから」

「なんかの勘違いでしょ。先生たちはなんて?」

「犯人じゃないって信じてくれたけど」

「じゃあいいじゃん!大体殺したい人とか、動機はあったの?」

「いやないけど…」

「暗い顔しない!修くんは悪いことしてないよ」

「ありがと。美月」

「うん!!」

一人で考えるよりも、圧倒的に情報が多い。

なにより元気が出る。

僕はここ2日間で今が一番幸せだと感じた。

信じてくれる先生に、励ましてくれる友達。

「よし!もっと頑張らないと。心配かけないように」

すっと美月の方に視線を送ると、ニコッと笑ってくれた。