確かにクラス替えのない学校だ。

でも面識どうこうではなく一緒にいた?

「本当に覚えていないんだ。申し訳ない。

 僕は美月さんとはどういう関係だったの」

問いかけと同時に響くチャイム。

「とりあえず教室戻ろっか…

 放課後に話そ…

 授業終わったら屋上で」

と明るく美月さんは伝え、屋上から教室に戻っていった。

屋上には僕の出した椅子と南京錠だけが置いてあった。



椅子を隠し、南京錠をかけて屋上を後にした。

「一緒にいた…友達だったのか。もしかして…恋人」

正直顔は可愛いと思うし、性格もきっといいのだろう。

「いや…そんなわけないか」

何か違う気がする。

ただの友達だったのだろう。

ぼそぼそと口に出しながら教室へと歩く。



教室に戻ってきたが、美月さん以外は誰もいなかった。

「あれ…みんなは?」

「移動教室でしょ!何言ってるの」

「そっか授業ってなんだっけ?」

「この学校の移動教室は基本的には体育しかないでしょ」

校舎はかなり広いのに、移動教室は体育だけか。

ちょっと寂しいな。家庭科室や技術室、PC室とかもあるのに。

「それより~!早く出てくれないかな!!」

「なんで?」

「着替えられないでしょ!バカ!」

「そっかごめん!じゃあ廊下にいるから終わったら呼んで!」

僕は慌てて廊下に出た。



僕は体育どうしよう。

もう受けなくてもいい気がしてきた。

一回授業を休むと、気が緩んでしまう。

「終わったよ~」

「はやっ」

元気の良い声で、教室を飛び出してきた体操服の美月さん。

30秒ぐらいしか待っていないのに。はやすぎる。

「修くんは体育どうする?」

「そんな気分じゃないし、欠席しようかな」

「へぇ~あの優等生がサボりですか~?まあいいよ、伝えておくね!」

そう言うと美月さんは廊下を走って授業に向かっていった。

僕は真面目に授業に向かう美月さんを背に教室の中へと入り、自分の席に座る。

「はぁ…あだ名までついてて、初対面ってよくよく考えたらありえないか」

屋上で美月さんと話したことを思い出して、一人で納得していた。

本でも読もうと思い、僕は机に手を突っ込むと知らない紙が入っていた。

メモ用紙のような紙には、文字が綴られていた。


 “なんで普通に登校してるんだよ。人殺し”


そう書かれていた。

クラスメイトも知っていたのか。

全員に知れ渡っているのか?後で聞いてみるしかないか。

何となく慣れてしまったような気がするが、

「やっぱり少し傷つくな」

独り言を吐き、自分を落ち着かせていると教室の扉が勢いよく開いた。

「修くんよ!一緒にサボろうではないか!」

よくわからない口調で、元気よく美月さんが教室に飛び込んできた。