「登録されてないみたい。前に登録してたんじゃないの?」

「私も昨日電話しようとしたら、連絡先が消えててもしかしてと思って」

僕と美月はお互いの連絡先を登録した。

「あれ、もう9時なんだけど!ごめん私、急いで帰らなきゃ」

そういうと美月は走って帰っていった。

美月の姿が見えなくなったころ、僕の携帯にメールが届いた。

---差出人 "美月" ---

後で電話するね!
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電話の時にでも、叶の反応を報告するか。

「私たちも早く帰らないと、修ちゃんの両親心配するよ」

そういうと叶は僕の少し前を歩いていった。



すっかり遅くなってしまったが、家に着いた。

玄関を開けて、僕たちは両親に帰りを知らせた。

「ただいま」

リビングから母が出てきて、

「おかえり、ご飯食べるよ」

と一言。

「すぐ呼びに行くから叶は少し部屋で待ってて」

僕がそう伝えると、叶は僕の部屋に向かった。

今のうちに両親に説明してしまおう。

僕は両親のいるリビングに向かう。

リビングについて、僕は椅子の入った箱を置いた。

「ずいぶんといいものを買ってきたな」

父は少し笑っていた。



僕は両親に叶の話をした。



二人とも信じられないのだろう。

難しそうな表情をしていた。

「にわかには信じられないが…」

父は渋々納得しようと努力しているように見えたが、母は対照的だった。

「いいじゃない幽霊!私は信じることにする」

父は母の楽観的な対応に思わず笑ってしまっていた。

「まぁいいか、うちに一人家族が増えたぐらいの感覚で」

「ありがとう父さん、母さん」

僕は箱から椅子を取り出し、僕の椅子の横に置いた。

「部屋にいるから呼んでくるね」

「待て修太朗!」

部屋に向かおうとした僕を父は呼び止めた。

「その幽霊の名前はあるのか?」

「叶っていう、女の子の幽霊なんだ」

僕が名前を伝えると、「そうか」と一言つぶやいていた。



リビングから飛び出し、僕の部屋に向かう。

扉を勢いよく開けて、叶の名前を呼んだ。

叶の返事は返ってこなかった。