朝の7時頃だろうか。
部屋に差し込む朝日で、僕は目を覚ました。
結局僕は誰を殺してしまったのだろうか。
「父や母が覚えていれば…
償うために努力することだってできるのに」
部屋には僕一人。ポツリとつぶやく。
僕の少し乾いた声が反響で耳に入る。
「どんなに小さいことでもいい。なにか思い出そう。」
-------------------------------------------------------
『おはよう』
父と母からの挨拶が聞こえた。
どこか元気づけようとしているのか、
明るく声を出そうとしているように感じた。
「おはよう」
僕も挨拶を返した。
母は朝食の準備を、カチャカチャと音を立てて進めている。
静かなリビングには、その音のみが響いている。
昨日から会話よりも、誰も話さない静かな時間が多くなった。
母が料理を終えて、少しずつ朝食が並びはじめ、僕は箸やコップなどを用意するために立ち上がった。
配膳が終わると、三人で朝食を食べはじめた。
緊張からか、熱をあまり感じない白米を食べていると、父から質問が飛んできた。
「何か思い出したか」
僕は首を横に振ることしかできなかった。
「昨日の夜、私も何か思い出せないか考えたけど、何も思い出せなかったの…」
母も考えてみたようだが、やはり何も思い出せなかったようだ。
ひょっとすると、僕は殺人を犯していないのではないか。
そんな淡い期待がよぎる。
僕からも情報を集めようと、父に質問を投げかける。
「僕は殺人を犯したと誰から聞いたの」
母が知らない場所で聞いているはず、職場なのか…警察から直接聞いたのか…
少しの沈黙の後、父が口を開く。
「誰からなのだろうか。修太朗が人を殺したことをいつからか知っていた。
自然に記憶に埋め込まれたような不思議な感じがする」
自然に知っていた。つまり誰かから聞いたわけではないと考えていいのだろうか。
母はともかくとして、裁判自体は行われている。
裁判官や警察に至っても、自然に刷り込まれた記憶によるものだったのだろうか。
だとしたら、知っていたとしても証拠がないため無罪になる。
僕が可能性について考えていると、父が謝罪してきた。
「昨日はすまなかった。証拠もないのに思い込みで殴ってしまった」
僕は笑って許した。しかし疑問は残る。
なぜか誰もが知っているのなら、母が知らない理由が見受けられない。
何かうまく状況が嚙み合わない。
食事が終わり、考え込んでいると母から
「さあさあ、とりあえず学校に行ってきなさい」
明るく声をかけられ、僕は慌てて自分の部屋に戻って、準備をはじめた。
リュックを背負い、部屋を出ようとしたとき何となくベッドの上がほのかに明るく感じた。
「遅刻するよ!」
その声を聞いて、急いで家から飛び出した。
部屋に差し込む朝日で、僕は目を覚ました。
結局僕は誰を殺してしまったのだろうか。
「父や母が覚えていれば…
償うために努力することだってできるのに」
部屋には僕一人。ポツリとつぶやく。
僕の少し乾いた声が反響で耳に入る。
「どんなに小さいことでもいい。なにか思い出そう。」
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『おはよう』
父と母からの挨拶が聞こえた。
どこか元気づけようとしているのか、
明るく声を出そうとしているように感じた。
「おはよう」
僕も挨拶を返した。
母は朝食の準備を、カチャカチャと音を立てて進めている。
静かなリビングには、その音のみが響いている。
昨日から会話よりも、誰も話さない静かな時間が多くなった。
母が料理を終えて、少しずつ朝食が並びはじめ、僕は箸やコップなどを用意するために立ち上がった。
配膳が終わると、三人で朝食を食べはじめた。
緊張からか、熱をあまり感じない白米を食べていると、父から質問が飛んできた。
「何か思い出したか」
僕は首を横に振ることしかできなかった。
「昨日の夜、私も何か思い出せないか考えたけど、何も思い出せなかったの…」
母も考えてみたようだが、やはり何も思い出せなかったようだ。
ひょっとすると、僕は殺人を犯していないのではないか。
そんな淡い期待がよぎる。
僕からも情報を集めようと、父に質問を投げかける。
「僕は殺人を犯したと誰から聞いたの」
母が知らない場所で聞いているはず、職場なのか…警察から直接聞いたのか…
少しの沈黙の後、父が口を開く。
「誰からなのだろうか。修太朗が人を殺したことをいつからか知っていた。
自然に記憶に埋め込まれたような不思議な感じがする」
自然に知っていた。つまり誰かから聞いたわけではないと考えていいのだろうか。
母はともかくとして、裁判自体は行われている。
裁判官や警察に至っても、自然に刷り込まれた記憶によるものだったのだろうか。
だとしたら、知っていたとしても証拠がないため無罪になる。
僕が可能性について考えていると、父が謝罪してきた。
「昨日はすまなかった。証拠もないのに思い込みで殴ってしまった」
僕は笑って許した。しかし疑問は残る。
なぜか誰もが知っているのなら、母が知らない理由が見受けられない。
何かうまく状況が嚙み合わない。
食事が終わり、考え込んでいると母から
「さあさあ、とりあえず学校に行ってきなさい」
明るく声をかけられ、僕は慌てて自分の部屋に戻って、準備をはじめた。
リュックを背負い、部屋を出ようとしたとき何となくベッドの上がほのかに明るく感じた。
「遅刻するよ!」
その声を聞いて、急いで家から飛び出した。
