この時間は30分に一本程度しか、電車は来ない。
静かなホームのベンチに三人で座っていた。
時間は少しずつ過ぎている。
叶にもっとしてあげられることは何だろうか?
30秒か……
僕の頭は、叶のことでいっぱいだった。
突然響く電車の到着を知らせるベルの音に、三人して驚いた。
先ほどの話もあり、重くなっていた空気が、その瞬間少し軽くなった。
「ねえ修ちゃん。それでどこに行くの?」
僕らの静寂を断ち切ったのは叶だった。
「今から少し買い物にね。僕の部屋の家具が壊れちゃって買い替えだよ」
「叶さんには修くんが使いそうな可愛い椅子を選んで欲しいの」
「まともなやつを使わせてくれ」
美月は気を利かせて、話を合わせてくれた。
「そういうことなら、まかせてよ!」
叶は自信あり気なポーズをとっていた。
無邪気で可愛い姿を見て、笑みがこぼれた。
「そういえば、椅子買いに行くのがなんで秘密だったの?」
気づかないでほしかった点に叶が気づいてしまった。
僕がなんとか誤魔化そうと考えていた時、電車がゆっくりと静かにホームの中に入ってきた。
「まあ続きはあとでにしよう。とりあえず電車に乗ろう」
静かに開く、電車の扉に救われた。
二つ隣の駅に向かうために、僕たちは電車に乗った。
静かな電車の中では、少しの乗客の話し声だけが響く。
「次は○○駅」
次の駅を知らせるアナウンスが流れた気がする。
「ねぇ私たちってどこの駅に行く予定なんだっけ?」
美月は小声で話しかけてきた。
「どこって…あれ駅の名前なんだっけ?」
たまに利用していたから忘れるはずもないのだけれど、思い出すことができない。
「アナウンスも駅の名前ちゃんと言ってないの。だけど次で降りなきゃいけない気がするの」
普段なら美月がよくわからないことを言っているとしか考えないが、僕もわからなくなっている。
それなのに美月と同じく、次の駅で降りればいい気がする。
一つ目の駅はすでに通り過ぎたのだろうか。
「まもなく○○駅」
次に聞こえてきたアナウンスでも、駅の名前を聞き取ることはできなかった。
「やっぱり聞こえないって!」
美月が少し不思議そうに、でもどこか楽しそうに伝えてきた。
「僕も聞こえなかった。だけれどここでいい気がするし、降りてみるか。あとでさっきの駅員さんに聞いてみればいいかもね」
美月は楽しそうに頷いていた。
この会話には叶の声は一切入らなかった。
叶の表情を見ると、心配事があるような、どこかつらそうな顔をしていた。
何かあったのだろうか。
プレゼントとかを通して、元気になってくれるといいけど。
電車は大きなブレーキ音を立てながらホームに入り、扉が開いた。
静かなホームのベンチに三人で座っていた。
時間は少しずつ過ぎている。
叶にもっとしてあげられることは何だろうか?
30秒か……
僕の頭は、叶のことでいっぱいだった。
突然響く電車の到着を知らせるベルの音に、三人して驚いた。
先ほどの話もあり、重くなっていた空気が、その瞬間少し軽くなった。
「ねえ修ちゃん。それでどこに行くの?」
僕らの静寂を断ち切ったのは叶だった。
「今から少し買い物にね。僕の部屋の家具が壊れちゃって買い替えだよ」
「叶さんには修くんが使いそうな可愛い椅子を選んで欲しいの」
「まともなやつを使わせてくれ」
美月は気を利かせて、話を合わせてくれた。
「そういうことなら、まかせてよ!」
叶は自信あり気なポーズをとっていた。
無邪気で可愛い姿を見て、笑みがこぼれた。
「そういえば、椅子買いに行くのがなんで秘密だったの?」
気づかないでほしかった点に叶が気づいてしまった。
僕がなんとか誤魔化そうと考えていた時、電車がゆっくりと静かにホームの中に入ってきた。
「まあ続きはあとでにしよう。とりあえず電車に乗ろう」
静かに開く、電車の扉に救われた。
二つ隣の駅に向かうために、僕たちは電車に乗った。
静かな電車の中では、少しの乗客の話し声だけが響く。
「次は○○駅」
次の駅を知らせるアナウンスが流れた気がする。
「ねぇ私たちってどこの駅に行く予定なんだっけ?」
美月は小声で話しかけてきた。
「どこって…あれ駅の名前なんだっけ?」
たまに利用していたから忘れるはずもないのだけれど、思い出すことができない。
「アナウンスも駅の名前ちゃんと言ってないの。だけど次で降りなきゃいけない気がするの」
普段なら美月がよくわからないことを言っているとしか考えないが、僕もわからなくなっている。
それなのに美月と同じく、次の駅で降りればいい気がする。
一つ目の駅はすでに通り過ぎたのだろうか。
「まもなく○○駅」
次に聞こえてきたアナウンスでも、駅の名前を聞き取ることはできなかった。
「やっぱり聞こえないって!」
美月が少し不思議そうに、でもどこか楽しそうに伝えてきた。
「僕も聞こえなかった。だけれどここでいい気がするし、降りてみるか。あとでさっきの駅員さんに聞いてみればいいかもね」
美月は楽しそうに頷いていた。
この会話には叶の声は一切入らなかった。
叶の表情を見ると、心配事があるような、どこかつらそうな顔をしていた。
何かあったのだろうか。
プレゼントとかを通して、元気になってくれるといいけど。
電車は大きなブレーキ音を立てながらホームに入り、扉が開いた。