三人での食事が一段落した。

「おいしかったね~」

美月も幸せそうだが、叶も幸せそうだった。

「なんとか叶さんの声聞いてみたいんだけど何か方法ないのかな?」

僕は当たり前に聞こえているため、考えたことなかったが、何かいい方法があるのだろうか。

それこそ霊媒師とかそういう不確定な人を頼るしかない気がする。

「今は何とも言えないな。現状叶のことが見えるのも、声が聞こえるのも僕だけだし」

さすがに体の透けている少女がいたら、目線が集まるだろう。

今のところ叶に集中する目線は感じない。

クラスにはいたのかな?

「僕がいなかったとき、クラスで叶が見えてそうな人はいたか?」

「私を見てる人は多分いなかったかな」

それぞれが何かアイデアがないかと考え無言の時間が続いた。


「「「何かないかな~?」」」

しばらくの沈黙の後、3人で同じ言葉が重なり、僕と叶はたくさん笑った。

「なになに~?急に笑い出して」

美月には叶の声は聞こえていなかった。

「きれいにハモったからさ。面白くて」

「そっかそっか!いいな私もたくさん笑っとこ~」

屋上から響く、笑い声はとても自由に広がっていった。



笑い疲れ、少し落ち着いたときお昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴り響いた。

「さあ戻るか。叶も授業受けよう!今度は僕と一緒に」

「叶さんも授業受けてるの?あ、だから朝来た時、空席の椅子引いたんだ!」

美月も見ていたようだ。

やっぱり目立つよな。気を付けないといけないな。

僕の言動にも行動にも、さらに注意を払わないといけない。



「今日の授業って何なの?」

僕は時間割が思い出せず、美月に尋ねる。

「今日はね~音楽の予定だったんだけどなくなったから、理科になるのかな」

「音楽ないんだ…」

美月の話を聞いて、叶は悲しそうな表情を見せる。

「いつか音楽やろう。授業じゃなくてもできるんだから」

「そうだね。叶さんの希望なんでしょ!」

僕が叶の言葉を伝えなくても、何となくで美月は汲み取ってくれた。

「とりあえず教室戻ろう!あと5分もないよ!」

美月は椅子をしまってから、屋上の扉を勢いよく開けて教室棟に帰っていった。

僕も椅子を片付けて、屋上の鍵を閉めてから、教室棟に向かった。