自宅に着くと、もう夜だった。

家に着いたとき、車のモニターは19時だった。

時の流れが少し早く感じた。



玄関を開けると父がいた。

「ただいま。父さん」

僕が帰宅を知らせると同時に、平手打ちが父から飛んできた。

「何がただいまだ。まず伝えるべきことがあるだろう。

 親に迷惑をかけ、殺人まで犯して…謝罪一つも言えないんか」

再び僕は絶望に落ちる。

「やっぱり僕は…迷惑をかけてしまい申し訳ございませんでした。」

膝から崩れ落ち、頭を地面につけて僕が謝罪を述べる中、母は父に問う、

「修太朗は誰を殺したの。本当に修太朗なの。私も…多分修太朗も覚えていないの。

ねえお父さん、修太朗は誰を殺してしまったの」

父は母の問いに答える前に、リビングへと移動した。

僕と母はそのあとに続いて移動した。

椅子に座り、しばらく時間がたった。父からの質問が始まる。

「なんで殺したんだ。何か恨みでもあったのか」

「覚えてないんだ」

僕はありのままに父からの質問に答えていった。

「何も覚えていないんだな」

「ごめんなさい」



しばらく無音の時間が流れた。そんな中思い出したかのように父は問う。

「そういえばお前いつから家にいなかった」

父からの一言でまた頭がごちゃごちゃになった。

確かにそうだ。殺人という重罪を犯しているのなら、

何日もかけて裁判の準備が行われるはずだ。

なのに僕の父は、殺人を犯したということは知っていたとしても、

殺人の決定的な情報を持っているわけではない。

母に至っては殺人を犯した事実さえ記憶にない。

僕の家族は誰一人として、正しく状況を理解できていなかった。

「とりあえず、今日は寝るか。もう12時を過ぎてしまったし。続きは明日にしよう」

僕はうなずいて、自室に戻りベッドの上でつぶやいた。

「僕は誰を殺してしまったのか…」



「もう12時か...さっき帰ってきたばかりなのに」

自分のベッドに腰掛けながら部屋を見渡す。

夜で電気も消えているのに、少しだけ明るく見える。

僕はベッドにゴロンと寝転び、やたらときれいに見える自分の部屋の中で眠るため目を閉じた。