生徒指導室の前に着くと中から、怒鳴り声が聞こえてくる。
怒鳴り声を遮るように、二人で指導室に入る。
「先生すみません。ちょっといいですか?」
「後にしてくれ、さすがに怒らないといけない」
「先生お願いします」
真剣に怒ってくれていたところ申し訳ないが、なかったことにしなければいけない。
「用件は?」
「和樹たちの先ほどの行動をなかったことにしてください」
「いらねぇよ。黙って帰れ修太朗」
和樹には都合の良い話だと思ったが。
なんだかんだいいやつなのかもしれない。
「いや。これは僕のためなんだ。いじめの事実を消さないといけない」
「何か事情があるのか?」
先生からの質問に、僕は何て答えようか悩んでしまう。
「藤田先生。私が話を聞いてから後でお伝えするのでこの場は…」
答えに詰まっていると、美月が助け舟を出してくれた。
「わかった。とりあえず美月さんの話を聞いてから判断するが、基本的に許す気はないことだけは伝えておく
じゃあお前ら戻っていいぞ」
「ありがとうございます」
僕が先生にお礼を伝えていると、和樹たちは舌打ちをしながら生徒指導室を出ていった。
「先生、このまま教室をお借りしてもいいですか?」
「特別だぞ。鍵はおいておくから後で返しに来てな」
先生は優しく鍵を僕に渡して出ていった。
部屋には僕と美月だけが残った。
「とりあえず、座って話そう」
美月はうなずき、僕の正面となる位置に座る。
「じゃあちゃんと説明してもらおうかな」
僕は美月に叶のことについて順番に話した。
叶と名乗る幽霊にあったこと。
叶の寿命。何がしたいのか。
僕が何をしてあげたいのか。
「じゃあ私は知らない幽霊の女のことで、頭がいっぱいの修くんにうまいこと丸め込まれたわけね」
冗談交じりに笑いながら、美月はそう言った。
「勘弁してくれよ。この年齢で幽霊になった女の子に楽しい思い出をあげたいだけなんだよ」
必死に僕は伝えた。
「わかったわかった。でも条件があります」
嫌な予感がする。
「一つ目は叶さんに私を紹介すること。二つ目は叶さんのお手伝いを私にもさせること。三つ目は私への連絡頻度を増やすこと」
「三つもですか…少し待ってほしい」
僕や叶にとっていい条件しかないが、軽はずみに頷いていいのだろうか。
「私はリスクがあるのに、修くん助けたんだけどな~」
ちょっとふざけたような口調で話しながら、片目を閉じつつ美月はちらちらと僕を見つめてくる。
「悪かったよ」
僕はしぶしぶ頷いた。
「じゃあさ。椅子も叶さんに?」
「ずっと飛んでるからさ、なんか同じ目線の方がいろんなことを楽しめるんじゃないかと思ってね」
「私も行っていい?私も頼りにしてほしいな」
知らない幽霊にも、優しくしてくれる美月はすごい。
「サプライズの予定なんだ。叶には伝えないでくれるなら、ぜひ手伝ってほしい」
「りょうかい!じゃあとりあえずお昼に屋上で!叶さんも連れてくること」
僕一人よりも心強いし、甘えるとしよう。
美月は立ち上がって教室に戻ろうとする。
「ありがとう美月」
僕が感謝を伝えると、かわいらしい声で返事をしつつ、指導室から出ていった。
「さあ僕は叶のところに戻らないと」
そう呟きながら、生徒指導室の鍵をかけて、隣の職員室の藤田先生のもとに向かう。
鍵を藤田先生の手に置く。
「理由は後でちゃんと伝えること」
とりあえず何も聞かないでくれた。
僕は頭を下げてから、職員室を後にした。
教室に戻ろうとしたとき、チャイムが聞こえた。
一時間目が終わってしまった。
二時間目は出ないといけないと思い、教室に急いだ。
廊下を走っていると、先に生徒指導室から出た美月に追いついた。
「授業出れなかったね」
「だね~」
ゆっくりと歩く美月に歩幅を合わせて、教室に向かった。
怒鳴り声を遮るように、二人で指導室に入る。
「先生すみません。ちょっといいですか?」
「後にしてくれ、さすがに怒らないといけない」
「先生お願いします」
真剣に怒ってくれていたところ申し訳ないが、なかったことにしなければいけない。
「用件は?」
「和樹たちの先ほどの行動をなかったことにしてください」
「いらねぇよ。黙って帰れ修太朗」
和樹には都合の良い話だと思ったが。
なんだかんだいいやつなのかもしれない。
「いや。これは僕のためなんだ。いじめの事実を消さないといけない」
「何か事情があるのか?」
先生からの質問に、僕は何て答えようか悩んでしまう。
「藤田先生。私が話を聞いてから後でお伝えするのでこの場は…」
答えに詰まっていると、美月が助け舟を出してくれた。
「わかった。とりあえず美月さんの話を聞いてから判断するが、基本的に許す気はないことだけは伝えておく
じゃあお前ら戻っていいぞ」
「ありがとうございます」
僕が先生にお礼を伝えていると、和樹たちは舌打ちをしながら生徒指導室を出ていった。
「先生、このまま教室をお借りしてもいいですか?」
「特別だぞ。鍵はおいておくから後で返しに来てな」
先生は優しく鍵を僕に渡して出ていった。
部屋には僕と美月だけが残った。
「とりあえず、座って話そう」
美月はうなずき、僕の正面となる位置に座る。
「じゃあちゃんと説明してもらおうかな」
僕は美月に叶のことについて順番に話した。
叶と名乗る幽霊にあったこと。
叶の寿命。何がしたいのか。
僕が何をしてあげたいのか。
「じゃあ私は知らない幽霊の女のことで、頭がいっぱいの修くんにうまいこと丸め込まれたわけね」
冗談交じりに笑いながら、美月はそう言った。
「勘弁してくれよ。この年齢で幽霊になった女の子に楽しい思い出をあげたいだけなんだよ」
必死に僕は伝えた。
「わかったわかった。でも条件があります」
嫌な予感がする。
「一つ目は叶さんに私を紹介すること。二つ目は叶さんのお手伝いを私にもさせること。三つ目は私への連絡頻度を増やすこと」
「三つもですか…少し待ってほしい」
僕や叶にとっていい条件しかないが、軽はずみに頷いていいのだろうか。
「私はリスクがあるのに、修くん助けたんだけどな~」
ちょっとふざけたような口調で話しながら、片目を閉じつつ美月はちらちらと僕を見つめてくる。
「悪かったよ」
僕はしぶしぶ頷いた。
「じゃあさ。椅子も叶さんに?」
「ずっと飛んでるからさ、なんか同じ目線の方がいろんなことを楽しめるんじゃないかと思ってね」
「私も行っていい?私も頼りにしてほしいな」
知らない幽霊にも、優しくしてくれる美月はすごい。
「サプライズの予定なんだ。叶には伝えないでくれるなら、ぜひ手伝ってほしい」
「りょうかい!じゃあとりあえずお昼に屋上で!叶さんも連れてくること」
僕一人よりも心強いし、甘えるとしよう。
美月は立ち上がって教室に戻ろうとする。
「ありがとう美月」
僕が感謝を伝えると、かわいらしい声で返事をしつつ、指導室から出ていった。
「さあ僕は叶のところに戻らないと」
そう呟きながら、生徒指導室の鍵をかけて、隣の職員室の藤田先生のもとに向かう。
鍵を藤田先生の手に置く。
「理由は後でちゃんと伝えること」
とりあえず何も聞かないでくれた。
僕は頭を下げてから、職員室を後にした。
教室に戻ろうとしたとき、チャイムが聞こえた。
一時間目が終わってしまった。
二時間目は出ないといけないと思い、教室に急いだ。
廊下を走っていると、先に生徒指導室から出た美月に追いついた。
「授業出れなかったね」
「だね~」
ゆっくりと歩く美月に歩幅を合わせて、教室に向かった。