そんな他愛もない話をしていたとき、聞かなければいけないことを思い出した。

「あ、そうだ!」

「うわぁ!!なに急に」

突然大きな声を出してしまい、美月を驚かせてしまったようだ。

「ごめん。聞かなきゃと思ってたことを思い出したから、思わず…」

「なんだ。びっくりしたよ。それでなに?」

「僕って昨日学校に来た?」

先生たちは欠席といっていた。けれども和樹は僕はいたと言っていた。

美月の答えはどっちなのだろうか

「えっとね…」

少し考え込んで、美月は答えた。

「いたはずだよ!なんでそんなこと聞いたの?」

美月が欠席と言ってくれれば、和樹の勘違いで済ませられたかもしれないが、僕はいたのか。

「僕は昨日裁判所にいた。だから学校にはいないはずなんだ。

 先生たちも欠席と言っていた。なのに和樹は昨日会ったって言ったから。

 だから気になってね。」

「え!裁判所にいたの?」

「罪状は殺人だとさ」

僕は正直に美月に話していった。

「判決は?」

「無罪だった」

「なんで?」

「わからない。結局証拠がないからじゃない?」

「そっか!」

「昨日の授業に数学はあった?」

「あったよ!それと最後の音楽の授業があった!」

「最後?まだ1学期の半ばだよ。授業終了はもうちょい先だろ?」

「いや、なんか音楽の先生が辞めちゃうんだってさ。だから最後!」

「変わったこともあるんだな。代理の先生が来たりはしないの?」

「うーんとね。私たちが卒業するまでは来ないみたい」

そんなことあるのか。

さすがに変な気がするが、僕にはそんなことを気にする余裕はなくなっていた。

理由は簡単で、体育から生徒が帰ってくるのが窓から見えたからだ。

美月のサボりと、僕との関係を知られると今後に響く。

行動は慎重に行わなければならない。

チャイムが鳴ってないから気にしていなかったが、こんな時に限って授業は早く終わる。

校庭からならまだ時間もある。

「授業が終わったみたい。どうする?」

「私はささっと着替えちゃうね」

「りょうかい。とりあえずしばらくは…」

「わかったって近づかない。明日以降はお昼と放課後に屋上で情報共有ってことにしよ!」

「そうするか」

「あと何かあったらいつでも電話してくれていいから」

「ありがと。じゃあ僕はどっか行ってるね」

そういって、僕は廊下に出た。

今日はこれで授業は終わりだ。

僕は美月が着替え終わるのを待ってから、教室に入り帰宅の準備をした。

準備が終わった後、僕は一応体調不良だったことになっているので、机に突っ伏しておいた。