好きだけど、好きなのに、好きだから

そう思っていると、小野寺の顔が急に真面目な表情に。

話しもバスケのことへと変わっていった。

「何でうちに来なかった?」

おめぇには関係ねぇだろ!

「バスケが出来ればそれでいいっす」

面倒くせぇと思った俺は、当たり障りなく返したつもりだった。

「ふっ、本当にそうか?」

小野寺は鼻で笑った。

「試合はチームが負ければ、そこで終わりだ。たしかにお前はすごいよ。でも、チームが勝たなきゃ意味がねぇ」

分かってる。

「うちだったら、お前のその実力を存分に生かしてやれんのに」

勝たなきゃ意味がねぇことくらい、こいつに言われなくたって……

分かっているからこそ、腹が立った。

「俺がチームを勝たせる」

ぶつけるように小野寺に言った。

「期待してるぜ、スーパールーキー」

俺に向けられた、小野寺の余裕のある笑顔。

俺は戻って行く小野寺の背中を見ながら、拳を握った。