好きだけど、好きなのに、好きだから

「優里亜さん」

「小野寺君!」

何で小野寺がここにいるんだ?

「体育館の周り散歩してたら、迷っちゃいましたよ」

「あはは」

二人は、話し始めた。

少しして先輩は準備に戻って、小野寺と二人になる。

俺は、先輩と小野寺が親しげだったことが気になった。

ライバル校同士なのに……

「先輩と知り合いっすか?」

「優里亜さんの親父さんとな」

ふーん。

「お前は?優里亜さんとどういう関係?」

「はぁ?」

いきなりなんなんだよ。

「付き合ってんのか?」

「そんなんじゃねぇっす」

「ふーん。さっき見つめ合ってなかった?」

へらへらとして、俺をおちょくって来やがる。

「ただ……目が合っただけだ」

と返した俺に小野寺が続ける。

「羨ましいなぁ、藤森北は。はちみつレモンも優里亜さんの手作りだろう」

こいつ優里亜先輩のこと……

「うちは男子校だから。あっ、でも女子なら誰でもいいわけじゃねぇよ。優里亜さんだからいいんだよなぁ」

はぁ……一人でベラベラと良く喋る。

「優里亜さんは、うちでは藤森北の美人マネージャーって言われてて。優里亜さんのこと気に入ってる奴、多いんだぜ」

優里亜先輩は、お前らを敵としてしか見てねぇと思うけどな。

ふっ、呆れて言葉も出ねぇ。