これはきっと、恋じゃない。


 次の日の放課後、わたしはドキドキしながら図書館で王子くんを待っていた。

 ほんとに来てくれるのかな。

 ホームルームが終わってしばらく経つけれど、王子くんはまだ来ない。きっとまた取り巻きの女の子たちに捕まっているのだろう。

「……はぁ」

 静かな図書館に、わたしのため息はよく響いた。

 図書館にはわたししかいなかった。それもそのはず、今はテスト期間でもないし、勉強は自習室やグループワークルームを使っている人が多いからだ。私立だから施設は綺麗で、勉強できる場所なんていくらでもある。

 ……ソワソワしてくる。
 じっと待ってたらだめだ、落ち着かない。わたしはポケットからスマホを取り出して、用もないけれどSNSを開いた。

「ごめん、逢沢さん!」
「わっ」

 唐突に話しかけられて、思わず肩が跳ねる。
 いつのまにか王子くんが目の前にいた。

「待ってた、よね」
「ううん、大丈夫! 今来たところ」

 まさかそんなことを言う日が来るとは。
 自分で言っておきながら、少しだけ恥ずかしくなってくる。

「もしかして、また女の子たちに捕まってた?」
「そう。……なんかね、無碍(むげ)にもできなくって」
「そりゃそうだよね」

 優しいんだな。そう思っていると、王子くんがじっとわたしのことを見ていた。

「どうかした?」
「……みんなから、ほっとけばいいのにってよく言われるから」

 言いながら王子くんはわたしの目の前に座る。

「いやいや、ファン大事じゃん!」
「まぁ、そうなんだけど」

 王子くんはまだ少し呆けたような顔をしている。なんでだろう。