これはきっと、恋じゃない。



「どうかした?」
「……なんでもないよ」

 顔に出ちゃうのかな、わたしは。みんなにすぐに聞かれてしまう。
 悟られないように、笑顔を浮かべる。

「王子くん、この時間はいつも屋上にいるの?」
「うん。学生っていうだけで他のみんなより練習時間減っちゃうから、ちょっとでも練習したくて」

「お友達はいいの?」
「よくはないよ。でも、……優先しなきゃいけないのは、こっちだから」
「……そっか」

 深く聞いたら、またダメージを受けそうになる。だからもう切り上げる。

「それじゃあ、また明日の放課後だね」

 ガラス戸に手をかけて、そういえばと思い出す。

「明日、場所はどうする?」
「んー、まだ俺よくわからないからどこでもいいよ」

 グループワーク用の部屋、と思ったけどあそこはガラス張りだから外からは丸見えだ。ただのペアワークだけど、よからぬ噂が立つのは避けたい。

 そこでふと、森山先輩が言ってたことを思い出した。
 ……本使う方が良いって言ってたな。

「じゃあ、図書館で!」
「わかった。わざわざありがとね」
「いえいえ」

 じゃあ、とわたしはウッドデッキから出る。王子くんが笑顔で手を振ってくれた。それに振り返して、廊下を歩く。

 途中ふと思い立って振り返ってみると、もう王子くんは真剣な眼差しで、ダンスの練習をしていた。