これはきっと、恋じゃない。



 結局、いろんなチャンスを伺ったけれどどれもダメなまま、お昼休みに突入した。4時間目の授業の片づけを終えて振り返ると、すでにそこに王子くんはいなかった。

「いないし……」
「千世! 王子くんどっか行ってたよ」
「お昼買いに行ったのかな……」
「どうだろ」

 そのときふと思い立って、わたしはおそるおそる王子くんと仲良しな田中くんたちに声をかけた。

「あの、王子くんは」
「え? あー、あいつ昼になるとどっか行くよ」
「うそ!」

 どっかってどこ!?

 ……最悪だ。今日もまた話せそうにない。
 こうなったら放課後? でも、放課後こそ絶対会えない気がする。仕事とかなんとか言って、すぐに帰ってしまうだろう。

「……だめだ亜子ちゃん、わたし、ほんとに無理かも」
「諦めるのはや! 探そうよ、よく行きそうなとことか知らないの?」
「知ってると思う?」

 だって話したことだってそんなに――。

「――あ」
「ん?」

 そうだ、この間資料を一緒に運んでくれたとき。
 あのとき、王子くんはたしか。
 
 ――もしかしたら。

「……ごめん、ちょっと行ってくる!」

 廊下を走る。
 たぶんあそこだ、生徒会室のところのウッドデッキ。

 あのとき篠原先生が練習がどうのって言っていたのは、きっとあそこでみんなが日頃から練習しているからだ。たしかにあそこはほとんど人がいないから、なにかと都合が良いはず。

 ……うん、考えれば考えるほど、あそこにしかいない気がしてきた。

 かすかに光が見えてきたような気がする!

 階段を登ってフロアに着く。倉庫と生徒会室を素通りして、一目散にウッドデッキに向かった。

「――見つけた」