次の日。
色々と警戒して、亜子ちゃんと待ち合わせして登校した。どうなるんだろうと緊張しながら言ったけれど、クラスの子たちはいつもどおりだった。
「おはよう」
「おはよー千世ちゃん」
彩芽ちゃんも、なにも言ってこなかったし、なんなら庇ってくれた。……わたし、本当に恵まれてるんだな。
でも、やっぱり教室には野次馬みたいな生徒がたくさんいた。廊下からこっちを何人もがちらちら見てくる。
「しょうがないよ、時期が悪かった。てか悪意あるし」
「……うん」
隣の席。王子くんはまだ来てない。
迷惑かけてごめんなさいと、メッセージしようとした。でもできなかった。それすらも、火に油を注ぐみたいで。
ホームルームの時間になる。王子くんは来ていない。そのことに安堵している自分がいた。
「それじゃあ今日も元気に。……と、逢沢はちょっと来てね」
……今度こそお説教かもしれない。
軽率な行動。学校側だって良い迷惑だろうし。流出した時点で、事務所との信頼関係も崩れるだろうし。それにわたしは、生徒会長だ。
このまま生徒会長も辞めさせられたら、すこしは楽になるかな。
そんなことを考えながら重い足取りで先生の元に行くと、佐藤先生は露骨に顔をしかめた。
「……大丈夫か」
「わたしより、王子くんは」
「あいつは大丈夫だ」
何を根拠にそう言うのだろう。王子くんは単独コンサートを控えているのに。謹慎とか、その開催が危ぶまれるようなことになっていたら、どうしよう。
背筋が冷えた。