「おつかれ様でーす」 扉を開けると 襲いかかる冷たさと一緒に 広がる殺風景な空気 上を向いても 薄暗くてつまんない 下を向けば 煙草だけが花火大会 目線を戻せば 男が必死に女を捕まえ 女は必死に男を避ける その光景が目ざわりだから 私は白い息を吐いて モザイクをかけた。 「手袋忘れたの失敗だわ」 いつも通りの バイト帰り。