葉月の言葉に真冬も頷く。風音もあの屋敷に書庫があるなど、初めて聞いた。

「あ〜、書庫は地下室にあるからね。意外と本の数が多くて、整理整頓が一人じゃなかなか追いつかないんだよ」

颯が少し困ったような顔で頭をかく。颯には色々と教えてもらい、助けてもらってきた。三人は顔を見合わせ、頷く。

「わかった。手伝うよ、書庫の整理」

風音がそう言うと、颯は「ありがとう!」と無邪気な笑顔を見せる。百年も生きているとは思えないほど、無垢な笑顔だ。

そして、颯の操る風に乗り、風音たちは森の中にある屋敷へと向かう。屋敷は瓦屋根の和風のものだ。

「書庫はこっちだよ」

颯に案内され、地下へと続く薄暗い階段を降りていく。ヒヤリとした空気が風音の頬を撫でる。

階段を降りると、目の前には大きな木造のドアがあり、颯がゆっくりとドアを開けていく。するとそこには、何千もの本が巨大な本棚に入っていた。そして、棚に入り切らない本が机の上に山積みになっている。