葵くんは手のひらにちょんと乗せたのを見て、私の瞳をちらりと見る。
やっぱり歯切れの悪い様子にちょっと不思議になる。
「……情けない様子見せてごめんね。
でも、最後に委員長として言っておきたいんだけどね」
んー?とこちらをむく葵くんに向かって私は息をすって、
「なにか悩みがあるなら言ってほしい。
……委員長だよ?葵くんのことは私、誰より分かるんだから」
……我ながら恥ずかしいことを言った。けど、葵くんが悩んでる様子なんて見慣れなくて居心地わるいんだから。なんて言い訳つけて。
「……伊坂」
葵くんが私の手のひらにそっと飴を戻す。優しく、壊れ物を扱うように。
「……あれ、ソーダ好きじゃない?」
「……好き」
