「っ!?ルアさんっ!!」
血の気が引いて、彼女を助けるために海に飛び込もうとした時───。
ザバッ。
突然水飛沫が飛び散って雨のように降りかかる。
「へへっ、驚いた?」
海面からいたずらな笑みを浮かべた女の子が現れる。
「…洋太くん?」
聞き覚えのある声の主に名前を呼ばれ、ハッとする。
「もしかして、ルアさん?」
恐る恐る聞くと女の子は「そうだよ!」と返事をした。
俺は彼女の姿にぱちくりと凝視する。
瞳の色は同じだが、髪は黒からライトブルーに変わっている。
それに、腰から下は魚のような尾鰭。
何度も目を擦ったが、間違いない。
「…る、ルアさんって人魚なの?」
「うん」
彼女は慌てることも、誤魔化すこともなく、微笑みながら頷いた。
「そんな…人魚って……」
信じられなかった。
だって、絵本や童話でしか人魚を見たことがなかったから。
まさか実際に存在していたとは思わないじゃないか。


